日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
最新号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
目次
総説
  • 杉本 研
    2024 年 61 巻 3 号 p. 247-255
    発行日: 2024/07/25
    公開日: 2024/09/11
    ジャーナル 認証あり

    がん治療または外科手術を受ける高齢者は,その病状や臓器障害に加え,身体的または精神・心理的な機能障害の程度や社会背景が生命予後のみならず健康寿命に影響することが,これまでの研究により明らかにされている.そのため,従来の治療前または術前評価に加えて,高齢者総合機能評価(CGA)/高齢者機能評価(GA)や身体機能評価,すなわち老年医学的評価を行うことにより,高齢者特有の問題点を明らかにし,術後合併症や生存率,QOLなどへの影響を予測することが求められる.特にフレイルと判断された場合は,CGA/GA,身体機能評価の結果に基づいた老年医学的介入を行うことが治療または術後予後やQOLを改善させる可能性があるが,そのエビデンスは乏しいため,今後の研究成果が必要である.フレイルの概念が老年医学領域と老年腫瘍学領域で異なることにも留意しておくことが必要であるが,がん治療または手術を受ける高齢者を年齢や見た目だけで判断せず,治療や手術によるデメリットがメリットを上回る集団を抽出するという点では共通している.がん治療または手術前に老年医学的評価を行い,それに基づく介入をルーチン化するためには老年科医を中心とする多職種連携が必須となるため,その構築が喫緊の課題である.

  • 山田 靜雄, 望月 正栄
    2024 年 61 巻 3 号 p. 256-270
    発行日: 2024/07/25
    公開日: 2024/09/11
    ジャーナル 認証あり

    高齢患者の薬物治療において,問題となっているポリファーマシーで起りやすい抗コリン性有害事象のリスク評価のために抗コリン負荷尺度(スコア,スケール)の重要性が指摘されている.抗コリン性有害事象が発現しやすい理由としては,抗コリン作用を示す薬剤が多い,慢性疾患や併存疾患治療のための多剤併用と長期服薬,加齢に伴う肝臓や腎臓の臓器機能低下などが考えられる.特に,高齢になると血液脳関門機能が脆弱になり薬物透過性が亢進するため,抗コリン作用を示す薬剤を処方する場合には中枢性副作用に十分注意する必要がある.そのため,薬剤の抗コリン性有害事象や抗コリン負荷尺度の評価には,薬物の物理化学的特性や血液脳関門透過性,薬物投与後の生体内薬物濃度や薬理学的活性代謝産物の生成,ムスカリン受容体を介する作用などの薬物動態学的および薬力学的因子を考慮することが重要になる.薬剤の薬学的特性と臨床知見の両者に基づく抗コリン負荷尺度は,多剤併用高齢者における抗コリン性有害事象の発現予測やリスク軽減,減薬のためのツールとして実臨床における有用性が期待される.

老年医学の展望
  • 小山 真吾, 山田 実
    2024 年 61 巻 3 号 p. 271-278
    発行日: 2024/07/25
    公開日: 2024/09/11
    ジャーナル 認証あり

    高齢者における筋力トレーニングは,健康寿命延伸のためには必須であり,その重要性は年齢とともに増加する.そのため,高齢者医療・介護領域では,その効果を最大限に引き出すための方法や注意点を熟知しておく必要がある.高齢者の筋力トレーニングは,対象者の疲労感や痛みの出現または増強の有無を確認しながら,仕事量(負荷量×回数×セット数)を基本として設定することで,高負荷トレーニングと同等の効果が示されている.また,効果判定指標や効果に影響を与える要因なども明らかにされており,その結果,仮説検証型プロセスであるPDCAサイクルを循環させ,より効果的で安全な筋力トレーニングを高齢者に処方することが可能となった.しかし,本邦における筋力トレーニングの実施者割合は,9~29%と決して多くなく,継続率も非常に低いのが現状である.トレーニングで得た効果は永続的ではないため,トレーニングを続ける必要がある.これらのことより,今後の課題は,長期間に渡って実施し続けられる運動処方と行動変容につながるアプローチの確立であり,これらアプローチを超高齢社会に実装していくことであると考える.

特集
高齢者における「食べる」臨床倫理
原著
  • 近藤 考朗, 川島 和代, 中道 淳子, 中山 詠美, 窪田 雅江, 前田 郁子, 中島 照美, 小幡 法子, 福島 真弓, 大家 理恵
    2024 年 61 巻 3 号 p. 304-311
    発行日: 2024/07/25
    公開日: 2024/09/11
    ジャーナル 認証あり

    目的:高齢者が入院治療を経て生活復帰する際にはこれまで住み慣れた住まいの変更が提案されることがある.本研究は地域包括ケア病棟を経由した高齢者の住まいの変化を明らかにすることを目的とする.対象と方法:人口3万人,高齢化率37%の市に存在するA病院の地域包括ケア病棟(53床)に2018年4月1日~2020年3月31日の2年間入退院した65歳以上の患者を対象とした.電子カルテシステムに記録された情報を後ろ向き調査し,日常生活動作,退院時の医療行為,入院前後の住まい,入院後7日以内に聴取した退院先の意向を収集した.結果:地域包括ケア病棟に入院した65歳以上の患者735名のうち予定手術等での入院127名を除外した608名を対象とした.平均年齢は82.9歳,85歳以上は52%,90歳以上は26%であった.自宅からの入院者465名のうち,64%が自宅退院,23%は施設・病院へ住まいを変え,残る13%が死亡していた.施設・病院からの入院者143名は8割以上が施設へ戻っていたが,入院前とは別の施設・病院へ退院していたものが36名(25%)あり,介護医療院併設の病院へ退院が最多であった.自宅からの入院者で生存退院した404名においては,食事動作自立,移動自立,また同居家族有りが自宅退院実現に対する独立した関連要因であった.入院後7日以内の退院先意向では,自宅からの入院者で本人が自宅退院を希望している246名のうち,56名の家族は施設・病院を希望しており,家族との意向不一致が23%に見られた.結論:地域包括ケア病棟を経由して高齢者の多くが住まいを変える実態が明らかになった.退院先に関する家族内の意向の不一致や医療及び介護上の制約を調整しながら,その人らしい暮らしが全うできるよう,多職種で対話を続けたい.

  • 鈴木 みずえ, 伊藤 友孝, 金盛 琢也, 稲垣 圭吾, 御室 総一郎, 山川 みやえ, 瀧上 恵吾, 澤木 圭介, 駒津 勇介, 内山 昌 ...
    2024 年 61 巻 3 号 p. 312-321
    発行日: 2024/07/25
    公開日: 2024/09/11
    ジャーナル 認証あり

    目的:本研究の目的は,Virtual Reality(VR)「仮想現実」とAugmented Reality(AR)「拡張現実」を用いて,治療・ケアに関わる医師,看護師を対象に,せん妄を発症した認知症高齢者や専門職の視点でのシミュレーション介入プログラムを開発し,その効果を検証することである.方法:2023年2月16日~4月18日に本プログラムに参加した看護師67名(84.8%),医師12名(15.2%)を対象に同プログラムの効果に関する自由記載を分析した.結果:認知症高齢者の視点におけるせん妄体験では,【1.自分がいる場所も状況も,行われようとしている治療・ケアも,わからないことだらけだ】【2.入院理由や治療・ケアに関して,分かるように状況を説明してほしい】【3.病院という不気味な環境や高圧的なスタッフの対応により,入院生活は驚愕と恐怖の連続だ】【4.痛みや不安,孤独に耐えている私の存在を尊重してほしい】【5.医師や看護師が私の視点に立って対応してくれると安心できる】【6.家族や日頃から呼ばれている名前など馴染みの存在は安心できる】の6つのカテゴリーが抽出された.結論:VRによる夜間の身体拘束体験やARによるせん妄体験による自己志向型共感の具体的なカテゴリーが抽出され,今後の実践で治療やケアに客観的な効果が得られる可能性が示唆された.

  • 井田 諭, 今高 加奈子, 森井 将基, 勝木 啓太郎, 村田 和也
    2024 年 61 巻 3 号 p. 322-328
    発行日: 2024/07/25
    公開日: 2024/09/11
    ジャーナル 認証あり

    目的:高齢糖尿病患者におけるGlobal Leadership Initiative on Malnutrition(GLIM)基準フェノタイプ別低栄養及びサルコペニア肥満頻度を検討すること.方法:対象は伊勢赤十字病院外来通院中の65歳以上の糖尿病患者とした.GLIM基準による低栄養,及びフェノタイプ別低栄養[(1)低栄養なし,(2)低栄養あり(体重減少またはbody mass index(BMI)低下あり/appendicular skeletal muscle mass(ASM)低下なし),(3)低栄養あり(体重減少・BMI低下なし/ASMI低下あり),(4)低栄養あり(体重減少またはBMI低下あり/ASMI低下あり)]の頻度を調査した.サルコペニアの診断はAsian Working Group for Sarcopenia 2019,肥満の診断は体脂肪率により行った.結果:490例が本研究の解析対象となった.低栄養は29.0%,GLIM基準フェノタイプ別低栄養頻度は,体重減少またはBMI低下あり/ASMI低下なし群で10.6%,体重減少・BMI低下なし/ASMI低下あり群で9.8%,体重減少またはBMI低下あり/ASMI低下あり群で8.6%であった.サルコペニア肥満は7.3%であり,サルコペニア肥満の大半は体重減少・BMI低下なし/ASMI低下あり群に存在した.結論:高齢糖尿病患者のおけるGLIM基準フェノタイプ別低栄養及びサルコペニア肥満頻度が明らかとなった.高齢糖尿病患者における低栄養診断の際,体重減少や低BMIのみならず骨格筋量低下を有する低栄養及びサルコペニア肥満への注意喚起が重要と考えられた.

  • 村上 英之
    2024 年 61 巻 3 号 p. 329-336
    発行日: 2024/07/25
    公開日: 2024/09/11
    ジャーナル 認証あり

    目的:地域医療を担う場所では高齢化が進み,亡くなられた際の死因に老衰を記載する機会が増えてきている.しかしながら,老衰の診断には明らかな基準が設けられているわけでなく,個々の医師の判断に委ねるところが多い.このため,当院において老衰と診断された症例の臨床的特徴を調査することを目的とした.方法:対象は2019年4月から2023年6月までの期間,当院で作成された282名の死亡診断書の中から,死因に老衰と記載された43症例.調査項目は年齢,性別,既往歴・合併症,亡くなられた場所,老衰の状況をご家族に説明した日から亡くなられた日までの期間,そして説明時のBMI(body mass index),採血検査とした.結果:老衰で亡くなられた症例の平均年齢は92.2±6.5歳であった.男女比は15:28と女性が多かった.既往歴・合併症には認知症76.7%,高血圧,整形外科疾患74.4%,呼吸器疾患66.7%,心疾患,消化器疾患が60.5%と多く認めた.亡くなられた場所は病院以外に,老人ホーム,自宅もみられた.ご家族に説明を行い亡くなられるまでの期間は全体の平均で110.2日であったが,症例によりかなりの差がみられた.BMIは平均19.7±3.0と低値傾向,採血結果で総蛋白,血清アルブミン値が基準値よりも低値で,わずかに貧血も認めた.結論:地域医療では,関わるご家族も高齢化しており,また遠方に離れている状況もあることから,老衰の状態を説明することが容易でない場面が多い.臨床現場での老衰の診断は曖昧で不明瞭なものであるが,診療の過程において価値観に留意した適切なタイミングでのご家族への説明,多職種との協働で対処していくことが重要と思われた.

  • 浅野 敬幸, 安田 朝子, 木之下 節夫, 田中 俊郎, 佐原 徹, 田中 淑満, 本間 昭, 繁田 雅弘
    2024 年 61 巻 3 号 p. 337-344
    発行日: 2024/07/25
    公開日: 2024/09/11
    ジャーナル 認証あり

    目的:軽度認知障害(MCI)段階における認知機能低下を誰もが簡単に検知できる認知機能チェックツールの開発が求められている.本研究は,設問に対する発話内容やその音声特徴量から健常とMCIを判別する機械学習モデルの構築を目的とした.方法:シルバー人材センターを通じた公募にて参加した333名(男性174名,女性159名,平均年齢71.9±5.8)を解析対象とした.認知機能の評価はMini Mental State Examination-Japanese(MMSE-J)精神状態短時間検査 改訂日本版によって行った.日常的な機能状態はClinical Dementia Rating(CDR)によって評価し,その結果に基づいて対象者を健常とMCI相当に分類した.時間見当識,文章の記憶課題およびスパン復唱課題に関する設問を自動音声で提示し,対象者は発話により回答する形式の検査アプリケーションを用いて,対象者の回答の採点結果とその音声特徴量を収集した.年齢,性別,回答の採点結果,音声特徴量を説明変数として,Gaussianナイーブベイズ等の各種分類器を用いて健常とMCI相当を判別する機械学習モデルを構築した.結果:Gaussianナイーブベイズを用いて構築した機械学習モデルの判別精度が最も高く,確信度の高い健常(CDR 0かつMMSE 29点以上の者)と確信度の高いMCI相当(CDR 0.5かつMMSE 26点以下の者)の判別精度はArea Under the Curve(AUC)0.866,accuracy 0.75,感度0.857,特異度0.712であった.結論:対象者の発話内容や音声特徴量から良好な精度で健常とMCI相当を判別する機械学習モデルを構築できた.本モデルをスマートフォンアプリや電話サービス等に搭載することでMCIの早期検知ツールの開発が可能となる.

  • 伊藤 和, 西岡 愛梨, 柚木 菜々, 百木 和, 小山田 裕一, 浦田 葉子, 居村 晴美, 大北 淳, 和田 聖子, 二股 将, 上 幸 ...
    2024 年 61 巻 3 号 p. 345-354
    発行日: 2024/07/25
    公開日: 2024/09/11
    ジャーナル 認証あり

    目的:介護施設入所高齢者のfrailty該当者の特徴及びfrailtyに関連する口腔機能を明らかにする.方法:研究デザインは多施設横断研究である.5施設の管理栄養士に質問紙調査を依頼し,214例(平均年齢87.4±6.3歳)を解析対象とした.入所者及びその代諾者へはオプトアウトにより周知した.評価項目は,性別,年齢,身長,体重,握力,下腿周囲長(Calf Circumference),要介護度,FRAIL-NH日本語版,MNA-SF,摂食嚥下障害の有無,食形態・水分のとろみ付けの有無,服薬数,主疾患,併存症,認知症高齢者の日常生活自立度,副作用として口腔乾燥を伴う薬剤の使用,『栄養・摂食嚥下スクリーニング・アセスメント・モニタリング(施設)』の多職種による栄養ケアの課題(低栄養関連問題)口腔関係9項目とした.結果:frailty該当者は106名(49.5%),女性79名(75%),平均BMI 19.7 kg/m2であった.frailty該当者には,要介護度が高い,低栄養,併存疾患が多い,多剤服用,摂食嚥下障害あり,食事介助,食事や水分の形態調整が必要という特徴がみられた.多変量解析の結果「第一主成分:むせ・残渣の問題」OR:1.81(95%CI:1.20~2.73),「第二主成分:食事への集中の問題」4.28(2.10~8.74)が介護施設入所高齢者のfrailtyに有意に関連した.結論:介護施設高齢者のfrailty対策には,介助者による姿勢保持と食事介助,言語聴覚士と管理栄養士による適切な食形態の調整,多職種による服薬内容の調整や薬効時間を考慮した食事時間の検討,口腔ケア,集中できる環境づくりが必要である.「摂食嚥下障害」のうち「むせ・残渣の問題」「食事への集中の問題」に着目してケアを行うことで,frailty,誤嚥性肺炎ひいては施設高齢者の予後改善が期待される.

  • 巻 直樹, 松田 ひとみ, 荒木 章裕, Thomas Mayers, 石井 亮太
    2024 年 61 巻 3 号 p. 355-362
    発行日: 2024/07/25
    公開日: 2024/09/11
    ジャーナル 認証あり

    目的:地域在住自立高齢者において,健康関連QOLと嚥下機能,心身機能との関連について検討した.方法:日本に在住する65歳以上の地域在住自立高齢者500人(男性250人,女性250人)を対象とし,嚥下機能と睡眠,うつ,孤独感および,健康関連QOLに関するインターネットアンケート調査を実施した.調査項目はBMI,摂食・嚥下障害スクリーニング法(DRACE),健康関連QOL(SF-8),ピッツバーグ睡眠質問票日本語版(PSQI-J),うつ評価(GDS),日本語版UCLA孤独感尺度であった.回答が得られた500人に対して,DRACE得点および誤嚥リスクなし群と誤嚥リスクあり群に分け比較し,ロジスティック回帰分析を実施,QOL(SF-8)の身体サマリースコア(PCS)・精神サマリースコア(MCS)を従属変数とする重回帰分析を用いて解析した.結果:誤嚥リスクあり群に関連する変数として,ロジスティック回帰分析では,SF-8のPCS・MCSの低下が見出された.また,QOL(SF-8)を従属変数とする重回帰分析ではBMI,GDS,PSQI-J,DRACE合計点,日本語版UCLA孤独感尺度が抽出された.結論:本調査における高齢者の健康関連QOLは誤嚥リスクや睡眠の質との関連性が見出され,心身・社会的な機能への広範囲に及ぶ関連が明らかとなった.これらの関連要因は,誤嚥リスクからも地域在住高齢者の自立した生活やQOLを脅かす可能性があり,摂食・嚥下機能に着目する必要性が示唆された.

  • 井田 諭, 今高 加奈子, 森井 将基, 勝木 啓太郎, 村田 和也
    2024 年 61 巻 3 号 p. 363-369
    発行日: 2024/07/25
    公開日: 2024/09/11
    ジャーナル 認証あり

    目的:慢性疾患を有する高齢糖尿病患者を対象とし,Asian Working Group for Cachexia(AWGC)基準によるカへキシアの頻度及びその関連因子の検討をすること.方法:対象は伊勢赤十字病院外来通院中の65歳以上の糖尿病患者とした.適格基準は上記患者の内,慢性疾患(慢性心不全,癌,慢性腎不全のいずれか)を有する者とした.カヘキシアの評価はAWGC基準を元に,Body mass index(BMI)<21 kg/m2に加え,食欲不振,c-reactive protein上昇,握力低下のいずれか1つ以上を有する場合とした.従属変数をカヘキシア,説明変数を各種変数(基本属性,血糖関連パラメーター,糖尿病合併症,併存症,治療内容)としたロジスティック回帰分析を用いて,カヘキシア関連因子を同定することとした.結果:242例(男性164例,女性78例)が本研究の解析対象となった.カヘキシア該当者は40人(16.5%)であった.ロジスティック解析の結果,年齢(Odds ratio(OR),1.16;P<0.001),1型糖尿病(OR,15.25;P=0.002),糖尿病網膜症(OR,5.72;P=0.001),及び身体的フレイル(OR,7.06;P<0.001)がカヘキシア関連因子であった.結論:慢性疾患を有する高齢糖尿病患者を対象とし,AWGC基準によるカヘキシアの頻度は16.5%であった.さらにカヘキシア関連因子として,1型糖尿病,糖尿病網膜症,年齢,及び身体的フレイルが同定された.慢性疾患を有する高齢糖尿病患者において,これら関連因子を診た際のカヘキシアへの注意喚起が重要であると考えられた.

医局紹介
feedback
Top