2007 年 6 巻 3 号 p. 391-397
培養液組成に大塚A処方区よりK濃度を高めNH4−N,Ca,Mg,SO4濃度を低めた改良処方区(NO3−N : NH4−N : P : K : Ca : Mg : SO4 = 7.0 : 0.2 : 2.1 : 5.6 : 2.9 : 1.0 : 1.1 me・L−1)を供試し,かけ流し方式で給液および排液の量ならびに濃度,培地内溶液濃度,トマトの生育および収量を調査した.茎径は第7花房から上位において改良処方区で有意に太く,収量ならびに可販果率の平均値が大きかった.改良処方区の培地内溶液のNO3−N,Ca,Mg,SO4濃度は大塚A処方区より低く推移した.培地内溶液および排液のECは改良処方区で低かった.成分吸収速度はPでは差がなかったが,Kでは全期間,NO3−N,Ca,Mg,SO4では収穫開始期から摘心期頃まで改良処方区で高い傾向にあった.改良処方区のみかけの成分吸収濃度(n/w)は各成分ともほぼ一定のレベルで推移し,(n/w)/培養液濃度比は1.0~1.2となった.閉鎖型養液栽培用に開発された培養液組成をかけ流し方式で検討したことにより以上のことが明らかとなり,改良処方区の組成,濃度はトマトの養分吸収とほぼ一致することが示唆された.