園芸学研究
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総説
  • 柴田 健一郎, 関 達哉
    2021 年 20 巻 1 号 p. 1-16
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    日本におけるニホンナシ(Pyrus pyrifolia Nakai)栽培は,数百年にわたり平棚施設の下で行われてきたが,低い植栽密度により成園化に長時間を要するため改植が困難である.そこで,我々は「樹体ジョイント仕立て法」と呼ばれる新しい栽培技術を開発した.この技術は,苗木を直線状に植栽し,隣接する樹同士を接ぎ木連結することで,せん定の省力・簡易化と早期成園化を目的としており,日本国内で現在普及拡大中である.

    樹形の特徴は,水平方向の直線状主枝とそこから発生する均一な側枝であり,生産上の利点は早期多収に加え,単純な樹形構造による栽培管理の簡易化と労働時間の削減である.

    この技術のアイデアは1993年に生み出され,2012年に神奈川県の特許技術となった.我々は,接ぎ木部を介した隣接樹の間の水や同化産物の樹体間移行を調査し,この栽培技術が均一な生育を示すことを裏付けるデータを得た.この革新的な栽培技術は,従来の仕立てやせん定における伝統的技術を変えるとともに,わい性台木や根域制限によらない新たな高密植栽培技術として位置付けることが可能であろう.この技術は,他の様々な果樹品目にも適用されてきたが,これら応用研究において,「ジョイントV字トレリス樹形」が機械化に最も適すると考えられ,現在,自動収穫技術などの機械化・自動化に向けた研究開発が行われている.

原著論文
育種・遺伝資源
  • 新見 恵理, 藤井 浩, 太田 智, 岩倉 拓哉, 遠藤 朋子, 島田 武彦
    2021 年 20 巻 1 号 p. 17-27
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    香酸カンキツの国内生産量の増加や輸出量の拡大を受けて,香酸カンキツの品種識別技術の確立と新品種の育成者権の保護が求められている.33品種・系統の香酸カンキツについて,生食用カンキツの品種識別に適用した26種類のCAPSマーカーを用いて遺伝子型を調査した結果,形質や産地によって複数の系統に分類されていたユズ(C. junos hort. ex Tanaka),スダチ(C. sudachi hort. ex Shirai),ユコウ(C. yuko hort. ex Tanaka),ジャバラ(C. jabara hort. ex Tanaka)は系統間で遺伝子型がすべて同一であることが示された.また,5種類のCAPSマーカーで生食用カンキツにみられない新規のアレルが検出された.Tf0001/Msp Iを除く25種類のCAPSマーカーの遺伝子型データを用いてMinimalMarkerプログラムで最少マーカーセットを算出したところ,主要な10種類の香酸カンキツを含むカンキツ35品種・系統は6種類のCAPSマーカーで相互に品種・系統を特定できることが明らかとなった.MARCOプログラムを用いて徳島県で育成された三倍体の新品種‘阿波すず香’(C. sudachi(2n = 4x) × C. junos(2n = 2x))の親子関係を鑑定したところ,‘阿波すず香’ が両親のいずれかから受け継いだアレルを有し,親子関係に矛盾がないことが示された.国内で流通する主要な香酸カンキツのDNA品種識別技術の確立により,国産ブランドや育成者権の保護が強化された.

  • 八幡 昌紀, 永嶋 友香, 大寺 佑典, 杉浦 颯希, 周藤 美希, 富永 晃好, 向井 啓雄, 國武 久登
    2021 年 20 巻 1 号 p. 29-37
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    カンキツ類の倍数性育種を効率的に進めるために,種子の形態と重さに着目し,二倍体ブンタン‘晩白柚’(Citrus maxima(Burm.)Merr.)と三倍体グレープフルーツタイプカンキツ ‘オロブランコ’(C. maxima × C. paradisi)との交雑を行い,得られた種子の形態および重さと,それぞれの種子から得られる実生の倍数性との関係を調べた.‘オロブランコ’ を交雑した場合,1果実当たりの総種子数は二倍体ナツミカン ‘川野夏橙’ を交雑した対照区より有意に少なくなり,不完全種子としいなが多く出現した.‘オロブランコ’ との交雑から得られた実生の倍数性をFCMで解析した結果,対照区と同様に完全種子のほとんどが二倍体であったが,200 mg未満の完全種子からは三倍体が高い頻度で出現し,500 mg以上の大きい完全種子からは四倍体の出現が認められた.不完全種子からは三倍体と異数体が多く出現し,さらに半数体も2個体得られた.以上より,これらの種子を選抜することにより効率的に様々な倍数体を獲得できると考えられる.

  • 塚崎 光, 奥 聡史, 本城 正憲, 山崎 篤, 室 崇人
    2021 年 20 巻 1 号 p. 39-47
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    タマネギは,国内生産量第3位の重要な野菜品目である.主に北海道向けの春まき(晩生)品種と本州・西南暖地向けの秋まき(早生)品種に分化しており,両品種群を同時に栽培してその特性を比較することは難しい.そのような中で,東北地域で開発された春まき作型では,両品種群を含む幅広い品種を栽培することが可能であることが判明し,今後はこの作型に適応した品種を開発・選定することが望まれている.しかし,これまで東北地域において,品種選抜の基礎となる気象条件を反映した品種・系統の特性データは得られていない.そこで本研究では,海外の品種を含めた遺伝的に多様な95品種・系統を用いて,各2回の春まき・秋まき栽培により計50形質データを取得した.春まき栽培と秋まき栽培の間で一部の形質を除いて有意な相関が認められたことから,秋まき栽培による安定的な評価が難しい地域では,早生品種においても春まき栽培によって評価できることが示された.各作型において2か年調査した21形質の平均値を中心に30形質データを用いた主成分分析により,主に生育の早晩に特徴付けられる第1主成分,主にりん茎の形質に特徴付けられる第2主成分を見出し,これらの主成分スコアに基づいた散布図およびクラスター分析の結果は,従来の品種群を概ね反映した.

土壌管理・施肥・灌水
  • 中村 嘉孝, 田中 哲司, 糟谷 真宏, 瀧 勝俊, 井上 栄一
    2021 年 20 巻 1 号 p. 49-55
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    ジネンジョ ‘稲武2号’ の窒素吸収特性を明らかにするため,窒素施肥量を変え,各時期の部位別の乾物重および窒素吸収量を調査した.茎葉の乾物重および窒素吸収量は7月から8月にかけて大きく増加し,8月にはほぼ最大に達した.一方,新生芋の乾物重および窒素吸収量は8月以降,漸次増加した.部位別の窒素吸収量の合計値は9月に最大となったことから,9月までの窒素供給がジネンジョの生育には有効であると考えられた.特に,茎葉の生育が増大する7月から8月までの窒素供給が重要と考えられた.

    窒素を無施肥で栽培した新生芋の重量,Brixおよび粘度は,窒素施肥(30 g-N・m–2)した場合と同程度であった.試験土壌からの窒素無機化量の推定値は,各時期の窒素吸収量の合計値よりも多かった.また,ポリマルチ敷設を行えば土壌中の窒素を無施肥としても土壌からの窒素供給で必要な窒素量を賄える可能性が示唆された.

  • 名田 和義, 平塚 伸
    2021 年 20 巻 1 号 p. 57-63
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    水耕栽培ホウレンソウにおいて,収穫直前のアミノ酸添加処理による硝酸塩とシュウ酸塩同時低減の可能性を示すため,収穫7日前に,培養液にグルタミン(1,2,3,4および5 mM),グリシン,グリコール酸およびグリオキシル酸(それぞれ1,3および5 mM)を添加し,ホウレンソウ葉の硝酸塩およびシュウ酸塩濃度,硝酸代謝,アミノ酸代謝およびシュウ酸代謝活性を調査した.グルタミン,グリコール酸およびグリオキシル酸添加処理は添加濃度が高まると培養液が白濁し,このことが原因となって地上部(葉身 + 葉柄)新鮮重が低下した.グリシン添加処理による地上部(葉身 + 葉柄)新鮮重への悪影響はなく,添加濃度5 mMにおいて,葉身の硝酸塩および可溶性シュウ酸濃度が同時に低下することが示された.グリシン添加によってNR活性が低下したが,これは基質である硝酸塩の低下が原因であると考えられた.グリシン添加による硝酸塩およびシュウ酸塩の同時低減は,硝酸塩の低下によりNRの活性が低下し,硝酸還元反応がなくなったことで,中和剤としてのシュウ酸の役割が低下したために起こったと考えられた.

栽培管理・作型
  • 福田 文夫, 玉木 由佳, 河井 崇, 牛島 幸一郎, 平野 健, 小田 賢司, 原 美由紀, 深松 陽介, 森永 邦久, 中野 龍平
    2021 年 20 巻 1 号 p. 65-71
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    近年,11月に商業的な収穫がなされる極晩生 ‘冬桃がたり®’ の栽培が岡山県で進められている.‘冬桃がたり®’ の果実肥大様相や成熟果の特性を明らかにすることを目的として,岡山県総社市の生産園において,同園に植栽の晩生の ‘あきぞら’ と比較して果実発育を2年間調査した.‘冬桃がたり®’ では,果実発育第1期は,‘あきぞら’ とほぼ同時期に終了したが,果実発育第2期は‘あきぞら’ よりも1か月長く8月上旬まで約2か月続いた.この時期の生長速度は ‘冬桃がたり®’ で著しく低かった.一方,種子内組織の胚乳や胚の生長には両者に大差なかった.果実肥大を再開した果実発育第3期では果実の相対生長速度が‘あきぞら’よりも少し低く,10月末まで肥大を継続した.その後,収穫まで数週間の成熟期が観察された.両年とも,‘冬桃がたり®’ は収穫時に,既にエチレン生成を開始していた.収穫果実を20°Cで15日間追熟して特性を見たところ,果肉硬度の低下が小さく,両年とも追熟6日後から12日後まで可食適期が続いた.さらに ‘冬桃がたり®’ の接ぎ木個体を岡山大学圃場に移植し,発育特性を調査したが生産園地と同様であることが確認され,‘冬桃がたり®’ の果実肥大の固有の特徴は接ぎ木繁殖下でも安定した特性であることが明らかとなった.

  • 阪本 大輔, 原田 昌幸, 山根 崇嘉, 守谷 友紀, 花田 俊男, 馬場 隆士, 岩波 宏
    2021 年 20 巻 1 号 p. 73-78
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    リンゴの果皮のクロロフィル含量を非破壊で計測するために,携帯型分光計を用い,果皮を透過した650~740 nmの波長域の拡散反射光の反射率を非破壊で測定し,部分的最小二乗回帰分析を行いクロロフィル含量の推定モデルを作成した.その結果,2018年産の ‘あかね’,‘さんさ’,‘きたろう’,‘ジョナゴールド’ および ‘ふじ’ において,決定係数r2 = 0.918~0.982と高精度にクロロフィル含量を推定することができた.2018年産の ‘きたろう’ で作成した同推定モデルで,2019年の上記5品種および ‘トキ’ のクロロフィル含量の検証を行ったところ,決定係数がr2 = 0.919~0.981と高く,誤差も小さく推定できた.また,すべての品種でクロロフィル含量とこれまで収穫適期の指標として用いられてきた地色やデンプン指数との間に高い相関がみられた.推定モデルは今回試験した温度帯では果実温の影響は少なかった.以上のことから携帯型分光計を用い,果皮のクロロフィル含量を迅速かつ高精度に測定き,リンゴの収穫期判定に活用できる可能性が示唆された.

  • 岩波 宏, 守谷 友紀, 花田 俊男, 阪本 大輔, 馬場 隆士
    2021 年 20 巻 1 号 p. 79-85
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    NAC水和剤による摘果効果は年次間差が大きい.そこで,樹体の状態と気象条件から効果に影響を及ぼす要因を抽出し,その要因を用いて,摘果効果(落果率)を予測するモデルを作成するとともに,そのモデルから,年次変動の原因およびその程度を推定した.NAC水和剤処理による‘ふじ’の落下する果実の肥大停止時期は,NAC水和剤を早くに処理しても遅くに処理しても,無処理樹で生理落果する果実が肥大停止する時期と同じ時期であった.NAC水和剤処理による落果率は,処理時の果そう内平均着果数,平均果そう葉数,処理後3日間の平均最高気温,満開後3~4週の平均日射量の4つの要因で概ね推定できた.果そう内着果数と果そう葉数は果そうの栄養状態を表し,果そう内の着果数が多く,果そう葉数が少ないリンゴ樹の果実は落下しやすかった.気象要因である処理後の気温と日射量については,日射量の方が落果率に及ぼす影響は大きく,年次による落果率の違いは,満開後3~4週の平均日射量の年次による違いが主な原因であった.近年はこの時期の日射量が高いため,NAC水和剤の摘果効果が不十分な年が多く,NAC水和剤単独処理では省力化の期待できる落果率80%を安定して達成するのは困難であると推定された.

  • 志水 恒介, 巽 賢太郎, 宇都宮 直樹, 神崎 真哉, 伊藤 仁久, 重岡 成
    2021 年 20 巻 1 号 p. 87-94
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    マンゴー ‘愛紅’ は ‘アーウィン’ と比べて隔年結果性が強く,大果性の晩生品種である.本研究では,カンキツの栽培に適用されている隔年交互結実栽培法をマンゴー ‘愛紅’ に応用し,その有効性を検討した.交互結実処理には主枝別交互結実区と樹別交互結実区の2処理区を設け,慣行法の対照区と比較した.花穂発生率に対照区と処理区間で有意な差はみられなかったが,ON-branchおよびON-treeの花穂発生率は安定して高く,ほぼすべての枝から花穂が発生した.両交互結実処理区の収量は対照区と有意差がなかったが,平均果実重は対照区より軽くなり,小玉果の割合が高くなった.作業効率に関し,両交互結実処理区ではせん定時間が短縮され省力化が可能であることが示唆された.一方,MiFT遺伝子の発現量は ‘愛紅’ の隔年結果性と関連があることが示され,開花数の予測に利用可能であることが示唆された.マンゴー ‘愛紅’ において,隔年交互結実栽培は慣行法と同程度の果実品質と収量を維持しながら,生産量の変動制御と省力化を可能にする有効な方法であると考えられた.

  • 田川 愛, 江原 愛美, 伊藤 優佑, 荒木 卓哉, 尾崎 行生, 宍戸 良洋
    2021 年 20 巻 1 号 p. 95-100
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    温度制御により果実への転流を促進する方法を開発するため,イチゴ‘さがほのか’の第一次腋果房頂果開花時および開花32日後において安定同位体13Cを施与し,昼温および夜温が光合成産物の転流・分配に及ぼす影響について検討した.開花32日後の時間当たりの転流率は,昼の時間帯において昼高温区が昼低温区の2倍以上の値で有意に高かった.これに対し夜の時間帯において,夜高温区と夜低温区の間には有意差が認められなかった.このことから夜に比べて気温が高い昼の環境が転流すなわち果実肥大に及ぼす影響が大きくなると考えられた.開花時および開花32日後の13CO2施与24時間後における13C-光合成産物の分配率を比較すると,開花時において新葉に最も多く分配されていたのに対し,開花32日後では果実への分配率が高く,昼高温区で90%以上,昼低温区で70%以上となった.開花32日後の昼高温区においては,第1果への分配率が高く,これは昼高温で第1果の果実肥大が進んだことによると考えられた.開花32日後における果実乾物重は,昼高温区が昼低温区より有意に大きく,昼の高温が果実の発育を促進したと考えられた.第一次腋果房頂果の成熟日数は,昼低温区において昼高温区より長くなったが,夜間の温度は影響を及ぼさず,日平均温度より昼の温度の影響が大きかった.以上の結果から,厳寒期の施設イチゴにおいて昼の温度を高めることは,光合成産物の果実への転流および成熟を促進する効果があることが明らかとなり,気象条件や草勢に応じてイチゴの生育をコントロールする方法のひとつとして活用できると考えられた.

収穫後の貯蔵流通
  • 外岡 慎, 本間 義之, 貫井 秀樹, 大場 聖司, 市村 一雄
    2021 年 20 巻 1 号 p. 101-108
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    ガーベラはハサミを用いずに引き抜いて収穫する.湿式輸送では切り戻しにより調整するが,乾式輸送では切り戻しによる調整は行わずに出荷する.ガーベラ切り花において,調整(切り戻し)の有無が花茎からの糖質および電解質の溶出,生け水の濁度および日持ちに及ぼす影響について検討した.ガーベラ ‘ミノウ’ における収穫時の平均切り花長は57 cmだった.‘ミノウ’ では,生け水の電気伝導率,糖質濃度および濁度は花茎を切断する位置と方法に影響された.調整しない場合および基部近くで切り戻した場合には,花首から40 cmの部位で切り戻した場合よりも低くなった.また,生け水の電気伝導率と濁度,電気伝導率と糖質濃度および濁度と糖質濃度との間には正の相関関係が認められた.7品種を用いて日持ち,電気伝導率,濁度および吸水量を調査したところ,有意な品種間差がみられた.また日持ちと濁度との間には負の相関関係がみられた.次に最も日持ちの長かった ‘ピンタ’ と短かった ‘ピクチャーパーフェクト’ において,切り戻しの有無が生け水の濁度,糖質の溶出および日持ちに及ぼす影響を調査した.‘ピンタ’ では,調整により生け水の濁度と糖質濃度の上昇はわずかであり,日持ちが延長した.それに対して,‘ピクチャーパーフェクト’ では調整により濁度と糖質濃度が上昇し,日持ちが延長しなかった.以上の結果から,調整したガーベラ切り花から糖質と電解質が溶出し,この量の違いが日持ちの品種間差に関与している可能性が示唆された.

新品種
  • 水野 真二, 成川 昇, 近藤 春美, 上吉原 裕亮, 立石 亮, 窪田 聡, 新町 文絵, 渡辺 慶一
    2021 年 20 巻 1 号 p. 109-115
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    アントシアニン色素を多く含み,果実が濃赤色を呈する促成栽培用イチゴ品種 ‘真紅の美鈴’ を育成した.神奈川県における試験栽培において,本品種は ‘とちおとめ’ より花芽分化がやや遅く,定植適期は9月20日頃以降であると考えられた.果実の硬度は ‘とちおとめ’ 並みに高く,糖酸比は20を超え,還元糖のグルコースとフルクトースを比較的多く含んでいた.果実のアントシアニン色素の含量は新鮮重1 g当たり185 μgであり,母親の ‘ふさの香’ および父親の ‘麗紅’ の約2倍,‘とちおとめ’ の約3倍であった.一方,果汁の抗酸化活性には‘真紅の美鈴’と従来品種で大きな差はみられず,アントシアニンの抗酸化活性への寄与度は低いと推定された.アントシアニンの組成はペラルゴニジン配糖体が80%以上を占めており,検出された5成分の構成比は ‘とちおとめ’ や親品種と概ね同等であった.このことから,‘真紅の美鈴’ が濃赤色を呈するのはアントシアニン組成の影響ではなく,色素の含量が顕著に多いためと考えられた.

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