園芸学研究
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原著論文
育種・遺伝資源
  • 鍋島 怜和, 安武 大輔, 北野 雅治
    2019 年 18 巻 3 号 p. 207-213
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/30
    ジャーナル フリー

    主枝2本仕立ての無摘心栽培を行い,ピーマンの多収要因となる形質を明らかにするために,8品種を用い,収量および生育特性,乾物生産について品種間差異を調査した.果実新鮮重(果実FW)から,本研究で用いた8品種の中では,‘土佐Pレッド’および‘トサヒメ’が高収量品種,‘さらら’および‘グリーン800号’を低収量品種であると判断した.高収量品種は低収量品種に比べて,果実数は同等以上であり,完熟果1果当たりの果実重は,2つの低収量品種の中間程度であった.果実への乾物分配率は,本試験に用いた品種間では大きな差はなく,また果実重(果実FWおよび果実DW)との間に相関は認められなかった.一方,地上部総乾物生産量(TDM)は,果実重(果実FWおよび果実DW)との間に高い正の相関を示し,さらに,高収量品種のTDMは低収量品種に比べて大きい傾向がみられた.これらのことから,多収には果実への乾物分配率より,TDMの増加が大きく貢献していると考えられた.また,生育特性の中では,栽培初期,中期および終了時の主茎径および主枝節数は果実FWとの相関は有意でなかったが,栽培終了時のTDMに対して高い正の相関を示した.

  • 遠藤(飛川) みのり, 本城 正憲, 曽根 一純, 森下 昌三, 由比 進
    2019 年 18 巻 3 号 p. 215-226
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/30
    ジャーナル フリー

    寒冷地において主に利用されている四季成り性イチゴ品種を暖地のイチゴ冬春季栽培に利用するには,その生態特性を把握する必要がある.そこで,寒冷地および暖地において四季成り性17品種を夏秋季から冬春季にわたって栽培して,自然条件下および24時間日長条件下における開花特性およびランナー発生特性の差異を調査した.その結果,夏秋季が高温となる暖地では,10~12月を中心に花房発生が抑制され,寒冷地に比べ株当たり総花房数が少なかった.寒冷地において観察された連続開花性の強弱は暖地においても同様に観察されたが,連続開花性が強い‘サマーアミーゴ’,‘みよし’などにおいても高温期には花房発生の停滞が生じた.この停滞は24時間日長処理によっても改善されず,暖地における夏秋どり栽培の困難性が示唆された.一方,冬春季には暖地においても,連続開花性が弱い‘なつあかり’などを含むほぼすべての供試品種が花房を発生した.24時間日長処理による花房発生促進効果も認められ,暖地の冬春季栽培においても四季成り性品種の利用が可能であることが示された.なお,四季成り性品種のランナー発生数は暖地と寒冷地とで相関が高いことが明らかとなった.本試験の供試品種のうち‘サマードロップ’は,暖地において夏秋季にはランナー発生が, 冬春季には24時間日長処理条件下で花房発生が多いことから,暖地における冬春季栽培に適していることが示された.

繁殖・育苗
  • 古川 一
    2019 年 18 巻 3 号 p. 227-233
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/30
    ジャーナル フリー

    ケハエアロエ(Aloe tomentosa Deflers)は発芽から種子生産が可能になるまでに10年程度の期間が必要である.一方,Aloe属植物のマイクロプロパゲーションでは,ハイパーハイドリシティーとソマクローナル変異の抑制が問題となっている.これらの問題を解決するために,ケハエアロエにおいて無菌播種と植物成長調節物質を用いない腋生分枝法によるマイクロプロパゲーション技術の開発を検討した.1/2MS培地に無菌播種したところ正常な実生の出現率は47%であった.継代培養して育成した植物体を1/2MS培地を用いて腋生分枝法で増殖したところ,腋芽が伸長して外植片当たり平均6.4本のシュートを得ることができた.培地へのBAPの添加はハイパーハイドリシティーを誘導した.これらのシュートは容易に発根し順化後に無加温のハウスで栽培することができた.以上の結果から,ケハエアロエにおいて,無菌播種は培養系の確立に利用でき,植物成長調節物質を用いない無菌播種および腋生分枝法はケハエアロエにとって有効な増殖技術であると判断した.

  • 小高 宏樹, 高橋 加奈, 相部 かおり, 鈴木 克己, 切岩 祥和
    2019 年 18 巻 3 号 p. 235-241
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/30
    ジャーナル フリー

    露地野菜のセル育苗は,高温多湿で過密植条件で行われ,徒長気味の苗となりやすい.下胚軸が伸長しやすいケールにおいても,圃場での苗の活着率には苗の良し悪しが影響し,収量性にも影響する.そこで,ケールの良質苗生産のための育苗温度条件の影響について,苗の下胚軸長および根の活着力を調査した.ケールの下胚軸長は温度に影響され,播種4日後からの育苗温度が高いと下胚軸が伸長しやすく,育苗初期の温度条件が重要な環境要因であることが明らかとなった.そこで下胚軸が伸長しやすい播種4~7日後までの4日間を15°C程度の低温で処理すると下胚軸の伸長が抑制され,定植後の活着が向上した.この温度条件は明期に特に大きく影響し,明期の高温は下胚軸が伸長しやすいため不適であると考えられた.また低温で処理しても根量は増加しなかったことから,活着力の増大は根の活性の増大によるものと推察された.以上のことから,ケールの育苗において,播種4日後からの4日間における日中の気温を低く管理することが良質な苗生産につながると考えられた.

栽培管理・作型
  • 稲本 勝彦, 木下 貴文, 山崎 博子
    2019 年 18 巻 3 号 p. 243-251
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/30
    ジャーナル フリー

    本研究では,ガーベラ(Gerbera jamesonii Bol. ex Adlam.)の地表面に形成され,頂端分裂組織を含む短縮茎(「クラウン」と呼ぶ)部の局所的な加温は花茎発生と伸長を促進することを示した.当年夏季新植株を用いて冬季2回(実験1:品種‘バナナ’および‘キムシー’;実験2:品種‘キムシー’),温水チューブならびにステンレステープヒーターを用いたクラウン部局所加温を行って栽培した.局所加温により,切り花収穫時期が早まり,総切り花収穫本数および切り花長40 cm以上の収穫本数が増加した.局所加温の効果はクラウン部の平均温度が高く保たれた区で大きく室温を低く設定すると明確であった.株当たりの切り花重は無局所加温区と比較して局所加温諸区で増加あるいは有意差がなかった一方で,切り花1本当たりの切り花重,頭花径は無局所加温区と比較して局所加温諸区で小さくなる傾向にあった.ガーベラに対するクラウン部局所加温技術は,暖房コストの低減や収穫時期の調整技術に活用が期待される.

  • 山根 崇嘉, 原田 昌幸, 羽山 裕子, 三谷 宣仁, 中村 ゆり, 草塲 新之助
    2019 年 18 巻 3 号 p. 253-258
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/30
    ジャーナル フリー

    ニホンナシの果皮のクロロフィル含量を非破壊で計測するために,携帯型分光計を用い,コルク層の上から果皮を透過した650~740 nmの波長域の拡散反射光の反射率を非破壊で測定し,部分的最小二乗回帰分析を行いクロロフィル含量の推定モデルを作成した.その結果,2016年産の‘幸水’,‘豊水’および‘あきづき’において,決定係数r2 = 0.962~0.974と高精度にクロロフィル含量を推定することができた.2017年産の‘幸水’で作成した同推定モデルで,2016年の上記3品種のクロロフィル含量の検証を行ったところ,決定係数がr2 = 0.956~0.974と高く,誤差も小さく推定できた.また,すべての品種でクロロフィル含量と地色との間に高い相関がみられ(r2 = 0.937~0.953),クロロフィル含量を地色に変換することが可能であった.推定モデルは果実温の影響を受けたが,温度の異なる果実を用いて推定モデルを作成することにより,果実温の影響は小さくなった.晴天の野外条件と室内の測定でほぼ同じ測定値を示し,野外での測定が可能であった.以上のことから携帯型分光計を用い,コルク層の上から果皮のクロロフィル含量および地色を迅速かつ高精度に測定でき,ニホンナシの熟度判定に活用できると考えられた.

  • 上藤 満宏, 川口 岳芳
    2019 年 18 巻 3 号 p. 259-267
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/30
    ジャーナル フリー

    ミニトマト夏秋栽培におけるつやなし果の発生を抑制するため,着果促進剤(4-CPA)および遮光がつやなし果の発生に及ぼす影響について調査した.4-CPA処理におけるつやなし果発生率は,5~12%であり,無処理の22~39%と比較して有意に低かったことから,4-CPA処理は,つやなし果の発生抑制技術として有効と考えられた.また,遮光処理によって施設内の昇温を抑制した遮光区および調光区のつやなし果の発生率は7および9%であり,無遮光区の15%と比較して有意に低く,つやなし果の発生が最も多い9月の可販果収量は遮光処理した遮光区および調光区が株当たり0.8および1.0 kgであり,無遮光区の0.4 kgと比較して有意に多かった.これらのことから,遮光による昇温抑制は,つやなし果の発生抑制技術として有効と考えられた.遮光処理の方法について,強日射時のみ遮光する方法は,つやなし果の発生抑制効果に加えて,常時遮光する方法と比較して可販果収量が一時的に増加したことから,つやなし果の発生を抑制しつつ常時遮光による減収を回避する方法として有効であると考えられた.

  • 元木 悟, 柘植 一希, 北條 怜子, 甲村 浩之, 諫山 俊之, 藤尾 拓也, 岩崎 泰永
    2019 年 18 巻 3 号 p. 269-279
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/30
    ジャーナル フリー

    露地夏秋どりミニトマトのネット誘引無整枝栽培(ソバージュ栽培,以下, ソバージュ)の収量は,主枝1本仕立て栽培(以下,慣行)に比べて,株数が6分の1程度であるにも関わらず,慣行と同等以上の収量が見込める.また,ソバージュは収穫作業以外の作業時間を慣行に比べて有意に短縮できる.そこで本試験では,ソバージュを全国に普及させるため,温暖地の神奈川圃場に加え,ソバージュと同じミニトマトの夏秋どり栽培(ただし,ハウス雨除け夏秋どり栽培)が一般的である岩手および広島圃場おいて,3年間(岩手圃場は2年間),ソバージュと慣行の収量および品質を比較した.また,ソバージュの経済性を検討するため,ミニトマトの夏秋どり栽培の農業経営指標を参考に,各地域におけるソバージュの経済性評価を行った.その結果,露地夏秋どりミニトマトのソバージュにおける収量については,既報と同様,岩手および広島圃場においても単位面積当たりの収量は慣行と同等であり,株当たりの収量は慣行に比べて多かった.ソバージュの品質については,岩手圃場では既報と同様,ソバージュの糖度は慣行と同等か低い傾向であったものの,リコペン含量は栽培法および栽培年の間に一定の傾向が認められなかった.一方,広島圃場では,ソバージュの糖度およびリコペン含量は慣行と同等か高い傾向であった.ソバージュの経済性評価については,広島県の農業経営指標を参考に,本試験で実際に栽培した‘ロッソナポリタン’の可販果収量の月別平均値を用い,既報の作業性の結果を参考に試算した結果,ソバージュの利益は10 a当たり86万~110万円,労働時間は333~568時間,1時間当たりの利益は1,933~2,661円であった.

発育制御
  • 白山 竜次, 木戸 君枝
    2019 年 18 巻 3 号 p. 281-288
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/30
    ジャーナル フリー

    明期終了時の遠赤色光(EOD-FR)照射がキクの花成に及ぼす影響について調査した.秋ギク‘神馬’の低温期におけるEOD-FR処理は花成を促進した.秋ギクの自然日長における10月開花作型栽培によるEOD-FR処理は,20品種のうち14品種において花芽分化の促進効果が得られた.短日条件下に定植した秋ギクのEOD-FR処理は,20品種のうち11品種において花芽分化の促進効果が得られた.夏秋ギク6月開花作型でのEOD-FR処理では,30品種系統のうち19品種において開花の促進効果が得られた.EOD-FR照射は,秋ギク‘神馬’の限界暗期付近の花芽分化を促進したが,‘神馬’の明期終了から最も暗期中断の効果が高くなる時間までの経過時間(Dusk-NBmax)には影響しなかった.本研究は,EOD-FR処理がキク節間伸長を促進すると同様に栽培条件によっては花成促進に働くことを示した.

収穫後の貯蔵流通
  • 村上 覚, 山口 和希, 佐々木 俊之, 野口 真己
    2019 年 18 巻 3 号 p. 289-294
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/30
    ジャーナル フリー

    湯剥きはキウイフルーツの簡易剥皮法として有望である.本研究では,その実用性を評価するため,果実熟度が湯剥きの成否に及ぼす影響,作業性,果実品質についてそれぞれ検討した.その結果,湯剥きは適熟より進んだ果実で可能であり,供試した3品種(‘ヘイワード’,‘レインボーレッド’,‘静岡ゴールド’)いずれでも可能であった.湯剥きは包丁による包丁剥きに比べて剥皮作業時間の短縮や果実の利用部分の増加といった長所があった.果実の表面積は増加するものの,果実硬度,糖度,クエン酸含量,アスコルビン酸含量に差はみられなかった.果肉色は湯剥きすることにより変化はみられたものの,褐変やくすみは確認されなかった.以上から,果実品質の低下はみられないと判断された.このことから,湯剥きは実用性が高く,剥皮作業を改善できることが期待できた.

  • 髙橋 賢人, 相原 悟, 元木 悟
    2019 年 18 巻 3 号 p. 295-303
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/30
    ジャーナル フリー

    鮮度保持に関する研究は多くの野菜で行われており,果梗やへたなどが付いている野菜は,それらを介して蒸散が行われ,レモンやナス,食用ホオズキなどでは,へたや萼の有無が鮮度保持に影響を及ぼすことが報告されている.しかし,ミニトマトでは,へたの有無が収穫後の貯蔵性などに及ぼす影響について検討した報告は見当たらない.本研究では,果形の異なる4品種のミニトマトを用い,へたの有無が貯蔵性に及ぼす影響を検討した.その結果,25°C貯蔵において,重量減少率および呼吸量は,いずれの品種においても,へたなしがへたありと同等か低く,水分含有率およびアスコルビン酸含量は,いずれの品種においても,へたなしがへたありと同等か高かった.さらに,カビは,いずれの品種においても,へたなしでは発生せず,へたありでは発生した.なお,カビ発生率は,丸・偏円形の ‘千果’ および ‘ミニキャロル’ が洋ナシ形の ‘アイコ’ および ‘ロッソナポリタン’ に比べて有意に低かった.以上から,ミニトマトの25°C貯蔵において,へたなしがへたありに比べて貯蔵性に優れることが示唆された.

新技術
  • 佐藤 景子, 喜多 正幸, 野口 真己, 杉浦 実
    2019 年 18 巻 3 号 p. 305-312
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/30
    ジャーナル フリー

    低温条件下で酵素剥皮を行うと果実本来の風味や食感を維持した剥皮果肉を加工することができるが,低温条件下での酵素剥皮果肉の物理的性質や機能性成分についての知見が乏しい.そこで,複数のカンキツを対象に低温条件下で酵素剥皮した果肉の硬さや還元型アスコルビン酸とβ-クリプトキサンチンの含量を調査した.また,酵素剥皮果肉をシロップ漬け果肉に加工する際の残存酵素の影響と考えられる果肉の実崩れの抑制方法について検討を行った.酵素剥皮後の果肉の硬さは手剥きの果肉との間に差はみられなかった.また,還元型アスコルビン酸とβ-クリプトキサンチンは無処理のじょうのうと酵素剥皮果肉,酸・アルカリ剥皮の果肉との間に含量の差はみられなかった.従って,酵素剥皮処理を行った果肉は無処理と同様な果肉の硬さが保てるとともに,還元型アスコルビン酸およびβ-クリプトキサンチンの成分含有量の損失は生じないことが明らかとなった.さらに果肉のシロップ漬け瓶詰における残存酵素の影響と考えられる果肉の実崩れの抑制方法を検討したところ,煮沸滅菌の温度とシロップの糖濃度が関与していることが明らかとなり,瓶の煮沸滅菌温度やシロップの糖濃度を一般的な基準よりも高くする必要があることが示唆された.

新品種
  • 村濱 稔, 松田 絵里子, 平野 春菜, 井須 博史
    2019 年 18 巻 3 号 p. 313-315
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/30
    ジャーナル フリー

    フリージア新品種‘石川f6号’を育成した.2004年に‘ベルサイユ’に‘モセラ’を交配して得た11個体から,花型,花色のよい1系統を選抜し,球茎を増殖した.その後,2010年および2011年に特性を調査,区別性,均一性および安定性を確認し,‘石川f6号’として,2011年6月29日に品種登録申請し,2013年12月16日に品種登録された.同品種は「日本フラワー・オブ・ザ・イヤー2013」において,フレグランス特別賞を受賞した.

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