医療
Online ISSN : 1884-8729
Print ISSN : 0021-1699
ISSN-L : 0021-1699
常用緩衝ホルマリン固定による電顕的検索に関する研究I
進藤 登岡田 正明大網 弘山本 悦子
著者情報
ジャーナル フリー

1982 年 36 巻 5 号 p. 447-453

詳細
抄録

最近電子顕微鏡がroutineにも使用されるようになつてきた. しかしroutineに使用されている6~10倍のformalinで固定した材料を用いて電顕的検索を行つても診断上価値ある所見が得られないことが多い. そこで, 光顕的に比較的染色性のよいmodified Millonig's buffered formalin固定液を選び, 超微構造の保存について一般的電顕法と比較検討した. それによると本法で固定した皮膚の表皮細胞にみられるdesmosomeに不自然な曲折が認められ, 微細構造上若干の相違がみられたが, 肝臓, 腎臓においては相違はほとんど認められなかつた. また本固定液で固定後, 1年半経過した材料から作製した試料においても細胞膜の表現が一般的電顕法に比べて劣るものの, 細胞内微細器官の保存はかなり良好であり, 本固定液は光顕的検索のみならず, 電顕的検索にも十分耐え得るものであり非常に有効な固定液である. 本固定液は調整が簡単で, 安価であるのでroutineに常用し得る固定液である.

著者関連情報
© 一般社団法人国立医療学会
前の記事 次の記事
feedback
Top