多系統萎縮症は運動失調, 治療抵抗性パーキンソニズム, 自律神経症状など, 複雑な病状を呈する神経変性疾患である. 筋萎縮性側索硬化症に匹敵するほどの難病であり, 神経難病を診療する国立療養所への入院患者は少なくない. 国立療養所鈴鹿病院での筆者の長期経過観察例の経験に基づいて, 本症の病態についてレビューした. 画像による橋・小脳系や錐体外路系の萎縮進行, 入浴時低血圧, 悪性症候群, 中枢性呼吸障害, 内分泌障害, および, 臨床, 画像, 病理面からの進行性大脳半球萎縮について述べた. 臨床的検討や病理例を集約し, 病院の解明や治療法の開発を行うことが重要である.