日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
頚部異所性胸腺腫に重症筋無力症を合併した1例
佐藤 征二郎白戸 亨富樫 賢一
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2010 年 24 巻 1 号 p. 091-095

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抄録
症例は74歳女性.易疲労感,眼瞼下垂にて当院紹介受診となり,全身型重症筋無力症の診断となった.胸部CT,頚部超音波にて明らかな縦隔腫瘍は認めなかったものの,甲状腺腫瘍とその尾側に隣接して15mm程度の腫瘤を認めた.重症筋無力症,甲状腺癌リンパ節転移を疑い,拡大胸腺摘出術,甲状腺腫瘍摘出,リンパ節郭清を予定した.術中,縦隔内に胸腺腫は認めなかった.甲状腺腫瘍は濾胞腺腫であり,その尾側の腫瘤に胸腺組織を認めた.術後は3病日目にクリーゼとなり人工呼吸器を装着することとなったが,間もなく抜去し,44日目には独歩にて軽快退院された.極めて稀な重症筋無力症合併異所性胸腺腫の1例を経験した.重症筋無力症患者においては,前縦隔胸腺腫だけでなく異所性胸腺腫の存在も念頭に置き,精査する必要があると思われる.
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