日本腹部救急医学会雑誌
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術後エンドトキシン吸着療法の臨床的効果
池田 寿昭池田 一美松下 美季子中島 一馬黒木 雄一
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2005 年 25 巻 5 号 p. 707-712

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抄録

腹腔内感染症術後にPMX-DHPが施行された症例の背景因子と予後, 病態について検討した。重症度を予後別に検討した場合, APACHE II score, SOFA score, septic severity scoreはそれぞれ30以下, 10以下, 50以下で生存する可能性が高かった。検出菌は予後に影響を及ぼさなかった。ショック発症よりPMX-DHPが施行されるまでの時間に有意差はないものの早期に行われた症例で生存率が高かった。循環動態は両群とも改善し、肺酸素化は生存群でのみ有意に改善した。末梢血管抵抗は, 死亡群でPMX-DHP施行前, 有意に低下していた。IL-8は死亡群で生存群に比して有意に高値を呈し, 生存群でPAI-1のみがPMX-DHP後に有意に低下した。腹腔内感染症術後症例で, PMX-DHPの有効性を期待するには, 重症度および施行のタイミングを考慮することが重要である。

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