日本大腸肛門病学会雑誌
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右側結腸癌のリンパ節転移に関する研究
臨床病理学的および微粒子活性炭によるリンパ流路の検討
三枝 奈芳紀更科 広実斉藤 典男布村 正夫中山 肇大森 敏生中島 伸之樋口 道雄古山 信明
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1992 年 45 巻 4 号 p. 415-420

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抄録

右側結腸癌のリンパ節転移の特徴およびリンパ流路の解明を目的として,右側結腸癌76例の臨床病理学的諸因子とリンパ節転移との関係を検討し,またこのうち22例において微粒子活性炭を術中腫瘍近傍に注入し,リンパ節の黒染度を比較した.76例中30例にリンパ節転移を認め,検索リンパ節総数は2,686個であり,転移陽性リンパ節は79個(2.9%)であった.環周度亜全周以上,中・低分化腺癌,壁深達度s以上,ly2以上の症例にリンパ節転移が有意に多く認められた(P<0.01).また,n2以上の転移は肉眼型の3型に有意に多く認められた(P<0.05).リンパ節転移は腸管軸方向よりも中枢方向への転移が主流であったが,微粒子活性炭によるリンパ流路の検討では他領域リンパ節の黒染も認められ,複雑な経路が示唆された.再発症例はすべて血行性あるいは播種性転移によるものであり,リンパ節郭清からみると現在行われているR2以上の結腸右半切除術が妥当であると考えられた.

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