1997 年 50 巻 5 号 p. 350-354
colitis cystica profunda(以下,CCP)は大腸の粘膜下層の粘液嚢胞を特徴とし,隆起性病変を呈する非腫瘍性の良性疾患である.限局型,区域型,びまん型に分類され,通常は限局型の直腸のpolypoid病変として認められることが多い.今回上行結腸に有茎性ポリープとして認められたCCPの1例を経験したので報告した.症例は64歳男性.住民検診で便潜血陽性を指摘され,まったく無症状であった.全大腸内視鏡検査でBauhin弁の直上に表面平滑な有茎性ポリープを認めた.やや褐色した色調で毛細血管拡張様の発赤を不均一に認めた.内視鏡的ポリペクトミーを行った.上行結腸のポリープは大きさは11×8×8mmであった.病理組織学的には粘膜固有層に平滑筋,線維組織の増生すなわちfibromuscular obliterationを認めた。粘膜下層には腺組織の迷入とその一部の嚢胞状拡張を認め,CCPと診断した.1年後に内視鏡検査をしたが再発はなかった.