2000 年 53 巻 6 号 p. 358-363
大腸浸潤をきたした成人T細胞性白血病(ATL)の5症例を経験した.男性4例,女性1例で,平均58歳であった.病型は急性型が3例,リンパ腫型が2例であった.大腸浸潤の画像所見は,多発隆起性病変が4例,びまん浸潤型が1例であった.いずれも胃や小腸への浸潤も合併しており,4か月から1年9か月後に死亡した.自験5例を含む本邦報告31例の臨床的検討でも,大腸浸潤は多発する隆起性病変が18例,多発性潰瘍・びらんが5例と病変が多発するものが大半を占め,びまん浸潤型は6例のみであった.96%に胃や小腸への浸潤をきたしており,予後は平均7か月と不良であった.消化管の検索はATLの病態把握に有用と思われた.