日本大腸肛門病学会雑誌
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リンパ節転移状況からみた右側結腸癌に対する切除範囲の検討
立石 訓己有馬 純孝二見 喜太郎河原 一雅成富 一哉高山 成吉
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2002 年 55 巻 4 号 p. 189-194

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抄録

右側結腸癌のうち右半結腸切除術かつD2以上の郭清を行った治癒切除例104例を対象とし,リンパ節転移状況を占拠部位別に検索し切除範囲について考察した.1)腸管軸方向転移は腫瘍径8cm,10cmの2例を除き5cm以内であった.2)盲腸癌では腫瘍径8cmの1例を除き回結腸動脈に沿う転移であった.3)近位上行結腸癌では回結腸動脈に沿うリンパ節転移に留まっていた.4)中位上行結腸癌では腫瘍径にかかわらず広範囲に転移がみられた.5)遠位上行結腸癌では腫瘍径8.5cmの症例でNo.223に転移を認め,他は右結腸動脈に沿う転移であった.6)右側横行結腸では,腫瘍径10cmの症例に広範な転移を認めたが,回結腸動脈への転移例はなかった.以上より腫瘍径8cm未満の症例において盲腸,近位上行結腸癌に対しては回盲部切除術,右側横行結腸,上部上行結腸癌対しては回盲部温存術式でも根治性は保たれるものと考られた.

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