2004 年 57 巻 1 号 p. 12-16
深在性嚢胞性結腸炎(colitis cystica profunda:以下CCPと省略)に直腸癌を合併した1例を経験した.症例は43歳男性,直腸に長さ16cmにおよぶびまん型CCP発症後7年で,同部位に筋層浸潤を示す高分化腺癌(ss,nl(+),Stage IIIa)を合併し,平成13年3月直腸切断術を行った.病理組織像で,粘膜は粘膜下層へ嵌入し,典型的なCCPの像を呈しているなかに異形成を認め,癌細胞の筋層への浸潤とリンパ節転移を認めた.従来直腸に限局した隆起性病変を形成する良性疾患として知られるCCPであるが,発癌に関する報告は現在まで,本邦で1例,欧米では2例と極めてまれであり報告した.