日本大腸肛門病学会雑誌
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大量出血をきたし緊急腹腔鏡下手術で救命し得た空腸pyogenic granulomaの1例
中村 隆俊三富 弘之大谷 剛正佐々木 真弓磯部 義憲佐田 美和佐藤 武郎根本 一彦國場 幸均井原 厚佐藤 光史
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2004 年 57 巻 1 号 p. 39-42

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抄録

症例は49歳,男性.約2年前より下血を繰り返すため近医で精査するも,原因不明であった.今回,当院に下血の原因精査目的で入院中に突然の大量下血を認め,腹部血管造影を施行したところ,空腸枝末端に出血源を同定し得た.超選択的に出血部近傍の動脈に留置したマイクロカテーテルより術中に色素を注入,腸管漿膜の色調の変化を確認した上で,腹腔鏡下に小腸切除を施行した.切除標本では,肉眼的に出血源は2mm大の血まめ様の腫瘤として認められ,病理組織学的にpyogenic granulomaと診断された.術後経過は良好で,術後8日目に退院した.小腸のpyogenic granulomaは極めてまれであるが,小腸出血の原因の1つとして念頭におく必要がある.また術中に病変部の確認が困難な小腸出血例における術中の動脈内留置カテーテルからの色素注入法は,切除範囲を決定するために有効な手段の1つと考えられた.

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