材料と環境
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金属/水溶液界面に発生する応力
瀬尾 眞浩
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2007 年 56 巻 11 号 p. 497-504

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抄録
表面応力と表面張力は金属電極の表面エネルギー論にとって重要なパラメーターである。まず,表面応力と表面張力の違いと両者の関係について簡単に説明され,それから,ベンディングビーム法 (BBM) が,水溶液中の金属電極の表面応力変化を測定する有力な手法として紹介された。
主に (111) 面に配向した白金および金電極の表面応力変化の結果が例示され,表面エネルギー論の観点から討論された。白金 (111) 電極の表面応力は PtOH 単分子層形成前の OH 吸着中に圧縮方向に変化した。特に,表面応力の電位微分が最大となった。これは,下地白金原子と吸着 OH の強い結合による圧縮方向の表面弾性歪の増加が表面電荷密度を誘起し,最大値に寄与することにより説明された。ヨウ化物イオンを含んだ水溶液中における金 (111) 電極について,類似の圧縮方向の表面応力変化が AuI 単分子層形成前のヨウ素吸着中に観察され,白金電極と同様に説明された。
さらに,金 (111) 電極上のヨウ素吸着層あるいはアンダーポテンシャル析出した鉛単原子層の2次元等温圧縮率が圧縮方向の表面応力変化と表面 X 線散乱法による最近接原子間距離の変化を結びつけることにより評価された。
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© 2007 公益社団法人 腐食防食学会
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