Zairyo-to-Kankyo
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展望
解説特集 腐食電気化学測定法講座
論文 -第64回材料と環境討論会 講演大会論文-
  • 境 昌宏, 髙橋 裕喜
    2018 年 67 巻 6 号 p. 246-250
    発行日: 2018/06/15
    公開日: 2018/12/05
    ジャーナル 認証あり

    ギ酸銅および酢酸銅溶液中で発生する蟻の巣状腐食について調べるため,リン脱酸銅管および無酸素銅管の浸漬試験を行った.浸漬試験に用いた溶液の濃度は0.001,0.01,0.01 mol/Lの3水準とした.浸漬開始から28,56,84日後に試料を試験水から引き上げ,光学顕微鏡およびSEMにより断面観察を行った.0.001,0.01,0.1 mol/Lギ酸銅溶液に浸漬したリン脱酸銅管,無酸素銅管のいずれにも複雑に枝分かれした食孔を有する典型的な蟻の巣状腐食が発生した.一方,酢酸銅溶液に浸漬したリン脱酸銅,無酸素銅管には,溶液濃度が0.1 mol/Lのときにのみ,半球状の単一食孔が発生した.ギ酸銅および酢酸銅溶液中に浸漬した銅管に発生した腐食孔をSEMで観察することにより,いずれの腐食孔も金属銅が細かな網目状に浸食されていることが明らかとなった.

  • 玉川 博一, 金森 康二, 河野 浩三, 京 良彦, 大谷 良行
    2018 年 67 巻 6 号 p. 251-255
    発行日: 2018/06/15
    公開日: 2018/12/05
    ジャーナル 認証あり

    銅の応力腐食割れに対する感受性は,Zn,P,As,Sb,Siなどの添加によって増大する.その中でもP,As,Sbは,極めて微量の添加量でも感受性を高める.Pは,銅管における重要な添加元素であり,最近になって,りん脱酸銅の約10倍のPを添加した合金(Cu-0.2~0.4%P合金)において,蟻の巣状腐食への耐性を示すことが分かっている.エアコンの熱交換器用伝熱管として使用される銅管での応力腐食割れは,これまでにほとんど発生しない事象であり,耐蟻の巣状腐食合金との関係は分かっていない.本研究では,銅管のP濃度と応力腐食割れの関係について,ヘアピン曲げの観点から調査を行った.

    Cu-0.027%P管では,粒界腐食が発生しやすくなった.しかし,Cu-0.027%P管とCu-0.38%P管との腐食進行の程度に明瞭な差異は確認できなかった.多量のPを添加した合金では,結晶粒界へのPの偏析が懸念されるが,FE-EPMAで分析した限り,0.02~0.4%のP濃度範囲での粒界偏析は見られなかった.ヘアピン曲げ銅管での残留応力は,まれな現象であると推測される.これは,銅管の肉厚を薄くした場合でも同様であったが,曲げ加工に異常が生じると応力腐食割れが生じた.すなわち,ヘアピン状に曲げたときに管の形状が不均一となると,局所的に引張残留応力が集中し,応力腐食割れが生じた.

    ヘアピン曲げ銅管では,曲げ加工の際の形状不良が応力腐食割れ感受性を悪化させること,0.02~0.4%のP濃度範囲では,応力腐食割れ感受性の変化がほとんどないことが明らかとなった.

  • 岡田 信宏, 長澤 慎, 大塚 伸夫
    2018 年 67 巻 6 号 p. 256-260
    発行日: 2018/06/15
    公開日: 2018/12/05
    ジャーナル 認証あり

    無機Zn塗布鋼板は,Zn粒子により高耐食性を発揮することができる.しかしながら,無機Zn塗布鋼板の腐食メカニズムには不明な点が多い.数値解析モデルは,初期段階の腐食メカニズムの解明に有効である.我々は,イオンの輸送や化学反応を考慮した腐食現象の数値解析モデルの開発を行ってきた.計算結果から,Zn粒子が優先的に腐食し,MgCO3やCaCO3という腐食生成物が塗膜表層近くのZn粒子の周辺に生成した.これらの腐食生成物の分布はEPMAによる曝露試験材の分析結果と一致したが,Zn系腐食生成物の分布は一致しなかった.電気化学測定の結果,曝露試験後の試験片のカソード電流密度が,曝露前の値と比べると1/8に低下していることが明らかとなった.Znのカソード電流密度を1/8とした条件で再計算を行った結果,Zn腐食生成物はEPMA分析結果と一致した.これは,Zn粒子周りの腐食生物がZn粒子への酸素の到達を阻害し,Znのカソード電流密度が低下していることを示唆する.

論文
  • 南谷 林太郎
    2018 年 67 巻 6 号 p. 261-267
    発行日: 2018/06/15
    公開日: 2018/12/05
    ジャーナル 認証あり

    電子装置を設置した環境の腐食性を診断するために,その場測定が可能な目視型腐食センサを開発した.本センサでは,金属とその腐食生成物の色調の違いに注目し,腐食により経時的に変化する変色領域の長さを測定する.変色領域の長さは,腐食性ガスの拡散および金属の腐食反応を考慮した腐食解析により,従来の金属試験片の腐食厚さに換算できる.さらに取得した腐食厚さから対象環境の腐食性を診断できる.ここでは,電子装置の腐食障害の主要因である硫化腐食を診断することを目的に,銀腐食センサを試作した.銀腐食センサの精度は,実環境を想定した混合ガス腐食試験により検証した.試作腐食センサで取得した銀腐食厚さは,従来の銀板試験片の腐食厚さと誤差20%で良い相関を示した.本試作センサは,電源が不要のため,どこでも容易にかつ安全に使用できる.さらに機器分析を必要とせず,その場で環境の腐食性を見える化できる.

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