液体アンモニアタンクに適用した表層軟質クラッド鋼板の長期の耐液体アンモニアSCC性を把握することを目的に,開放検査結果を解析した結果,以下のことが判明した.
①30年使用したTS610 MPa級表層軟質クラッド鋼板適用タンク2基のうち,1基には割れの発生がなく,もう1基も累積6件の割れの発生に留まった.割れ発生件数は,従来のTS610 MPa級鋼板に対して顕著に少なく,表層軟質クラッド鋼板の長期の耐液体アンモニアSCC性能を確認できた.
②表層軟質クラッド鋼板に発生した割れ箇所は溶接部(ノズル溶接部,治具溶接跡,突合せ溶接部)のみに限られ,この現象は液体アンモニアタンクへの適用・運用実績があるSLA325と同様であった.
本研究では腐食環境におけるNiめっき鋼板への水素侵入挙動を解明することを目的とし,電気化学的水素透過試験およびポリアニリンを用いた水素可視化試験を実施した.Niめっき鋼板の腐食に伴う水素透過電流の上昇は確認されなかったが,ポリアニリンを用いて水素侵入サイトを可視化することに成功した.Niめっき鋼板への水素侵入は,鋼表面で生じた腐食孔内部の酸性化に伴い局所的に進行することが示された.