日本救急医学会雑誌
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症例報告
壊疽性軟部組織感染症との鑑別に苦慮した壊疽性膿皮症の1例
柳川 洋一西 紘一郎岩崎 純也
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2008 年 19 巻 12 号 p. 1095-1100

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抄録
症例は73歳の女性が左膝腫脹と疼痛を主訴に他院受診した。抗菌薬投与が行われたが,左膝の腫脹部が自壊し潰瘍を形成した。壊死性筋膜炎を疑われ,当科へ紹介された。既往歴は特記すべきことはなかった。潰瘍部とその周辺の壊死組織を切除したが,翌日,左膝の疼痛が更に悪化し,高熱も出現した。また粘血便もみられたため,全身状態の悪化を考え,筋膜上切除を施行した。いったん,解熱し,創部の疼痛も消失した。しかし,再度,発赤,腫脹,微熱,創部周囲が潰瘍化した。大腸内視鏡の所見で潰瘍性大腸炎を疑う所見を得たこと,組織培養,顕微鏡所見で細菌感染の所見が得られなかったことから,皮膚病変は壊疽性膿皮症と診断した。以降,抗菌薬を中止とし,ステロイド投与により,痛みは消失し,皮膚所見は改善した。炎症性潰瘍病変を診察した場合,壊疽性膿皮症も鑑別に考慮する必要がある。
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© 2008 日本救急医学会
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