日本外科系連合学会誌
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症例
急性虫垂炎と術前診断された虫垂憩室炎の1例
細沼 知則小山 友己二村 浩史矢永 勝彦
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キーワード: 虫垂憩室炎, 急性虫垂炎
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2007 年 32 巻 1 号 p. 70-73

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抄録

虫垂憩室炎は比較的稀な疾患である。消化管造影などの検査の際に偶然発見される場合を除き, 術前診断は極めて困難である。症例は39歳, 男性。右下腹部痛を主訴に当院を受診した。腹部CTで腫大した虫垂内に糞石と周囲脂肪織混濁が認められたため急性虫垂炎と診断され, 同日手術を施行した。病理組織学的に底部から体部にかけて数カ所で筋層を貫く粘膜の逸脱, 筋層の菲薄化・消失を認めたため仮性憩室と診断された。穿孔は認めなかった。
虫垂憩室炎の穿孔率は27~66%と高く, 急性虫垂炎における穿孔率の4倍以上との報告がある。また腹膜炎を高率に合併し, 容易に膿瘍形成や穿孔を生じやすいため, 欧米では無症状で偶然発見された場合でも予防的に虫垂切除術を行うのが一般的である。しかし本邦ではわれわれが検索した限り, 未だ一定の見解が得られていない。

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© 2007 日本外科系連合学会
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