体外循環技術
Online ISSN : 1884-5452
Print ISSN : 0912-2664
ISSN-L : 0912-2664
真性胸部大動脈瘤における弓部三分枝送血法での体循環維持の検討
荒木 康幸笠野 靖代黒崎 亮輔上塚 翼塚本 佳代子川野 洋眞堀内 賢二原武 義和三隅 寛恭平山 統一
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 32 巻 2 号 p. 181-185

詳細
抄録
【要旨】真性胸部大動脈瘤手術時,脳分離体外循環は不可欠な補助手段となる。しかし全身冷却を終了し,脳分離体外循環に移行するまでに弓部および下行大動脈のdebrisを脳血管へ飛ばさないことが脳梗塞発症の有無にかかわってくる。我々は腕頭動脈,左総頸動脈,左鎖骨下動脈の弓部三分枝のみのカニュレーションにて適正灌流量を出す方法「弓部三分枝送血法」を考案した。送血カニューレサイズは3.0,3.5,4.0mmのいずれか弓部三分枝の血管に楔入しないサイズを選択し,送血は独立したポンプで行った。回路内圧は180mmHg以内とし,灌流指数2.2~2.4L/min/m2を目標に送血を行った。腕頭動脈,左総頸動脈,左鎖骨下動脈のFlowはそれぞれ2.0±0.3L/min,0.5±0.2L/min,1.1±0.37L/minで十分な適正灌流量を出すことが可能であった。体外循環中左右前額のrSO2値の低下は認めなかった。術後脳梗塞の発症は28例中1例のみであった。
著者関連情報
© 日本体外循環技術医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top