体外循環技術
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研究論文
  • 後藤 健宏, 谷 誠二, 杉谷 侑亮, 佐生 喬, 行光 昌宏, 山田 昌子, 中山 祐樹, 髙尾 仁二
    2024 年 51 巻 1 号 p. 22-26
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/19
    ジャーナル フリー

     当院では人工心肺中に血漿遊離ヘモグロビン(plasma free-hemoglobin:PF-Hb)を測定している。PF-Hbは血中に存在するハプトグロビン(haptoglobin:Hp)と結合し、ヘモグロビン-ハプトグロビン複合体(複合体)へ変化することで減少すると考えられる。しかし、人工心肺中におけるPF-Hbの推移に着目すると測定値が低下しない症例を多数経験する。そのことから、当院で使用している測定装置が複合体も含めて測定しているのではないかと考えin vitroでの検証実験を行うこととした。

     対象機器は測定原理をアザイドメトヘモグロビン法とするHemocue® Plasma/Low Hemoglobinを用いた。PF-Hb濃度が0.10g/dLの溶血液5.0mLとHp濃度を変更したHp製剤溶液5.0mLを混和した実験溶液を作製し、各検体に対し3回ずつ対象機器でPF-Hb濃度を測定した。各検体の測定値に対する平均値と計算上表示され得る理論値を比較した。

     PF-Hbのみを測定している場合、測定結果は徐々に低下するはずだが、今回得られた測定値はすべて0.05g/dL近傍を示した。

     本装置が示すPF-Hb濃度は、複合体も含めて測定している可能性が極めて高いことが判明した。

  • 田辺 貴幸, 中田 貴丈, 田中 千久, 石田 奈々絵, 山下 雄作, 佐藤 耕一, 田辺 克也
    2024 年 51 巻 1 号 p. 27-36
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/19
    ジャーナル フリー

     2018年1月から2022年12月までで、当院で発生した人工肺内圧上昇(high-pressure excursion:HPE)を認めた症例について、圧力データを主に後ろ向きに検討した。HPEの発生率は0.31%(5,180症例中16症例)で、4種の人工肺が使用されていた。それぞれの発生率は人工肺Aが0.51%(588症例中3症例)、人工肺Bが1.67%(120症例中2症例)、人工肺Cが0.37%(1,348症例中5症例)、人工肺Dが1.85%(325症例中6症例)であった。人工肺抵抗値の圧力推移で、上昇後に正常値まで帰するもの、上昇したままのもの、人工心肺が継続不可となるものが存在した。発生時期は、最も多いのは人工心肺開始直後であり、HPE全体の69%であった。我々はHPEの圧力推移と発生時期で6つの形態に分類した。それぞれの形態では危険度は異なり、形態毎の対応方法を検討しておくことが重要であると考える。

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