てんかん研究
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Dipole Tracing法による焦点性棘徐波複合の脳内電源の推定
柴田 忠彦岩佐 博人古関 啓二郎佐藤 甫夫
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1993 年 11 巻 1 号 p. 23-30

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抄録
双極子追跡 (Dipolc Tracing: DT) 法を用いて, 局在関連性てんかん例において認められた焦点性棘徐波複合における棘波成分・陽性波成分・徐波成分の脳内電源の推定を行った。3成分の等価電流双極子 (cquivalent current dipole: ECD) は, 頭皮脳波上の突発波の優位側と同側半球内の互いに近接した部位に推定された。このことから, 発作間欠期の焦点性棘徐波複合のいずれの構成成分とも脳内の比較的限局した一領域に由来する電気活動を反映したものであることが考えられた。またECDのベクトルは, 棘波成分と徐波成分ではほぼ同一の方向を示し, 陽性波成分はこれらとはほぼ逆の方向を示した。この知見は棘波成分と陽性波成分がそれぞれ脳内の興奮性電気活動と抑制性電気活動に関連し互いに電気的な拮抗関係にあることを示唆するものと思われた。
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