日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
胃壁原発calcifying fibrous tumorの1例
北村 祥貴竹原 朗島田 雅也森山 秀樹斉藤 健一郎羽田 匡宏芝原 一繁佐々木 正寿小西 孝司前田 宜延
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2009 年 42 巻 12 号 p. 1773-1778

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抄録

 極めてまれな胃壁原発calcifying fibrous tumorの1例を経験した.症例は44歳の女性で,検診の上部消化管造影検査で胃体下部前壁に隆起性病変を指摘された.上部消化管内視鏡検査で同部位は硬い粘膜下腫瘍であり,腹部CTでは胃壁壁外に突出し内部に石灰化を伴っていた.Gastrointestinal stromal tumor疑いと診断し,腹腔鏡下胃部分切除術を施行した.病理組織学的検査では,成熟した線維組織の増生が主体で硝子様の変化と一部に石灰化巣を伴っていた.線維組織間には異型性の目立たない紡錘形細胞が疎に増殖しており,形質細胞を主体とした小円形細胞の浸潤を認めた.紡錘形細胞は免疫組織染色検査でVimentin陽性も,CD34,c-kit,α-smooth muscle actin,Desmin,S-100,NSEすべて陰性であり,calcifying fibrous tumorと診断した.胃壁原発のcalcifying fibrous tumorの報告は極めてまれであり,文献的考察を含めて報告する.

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