2010 年 43 巻 11 号 p. 1117-1122
症例は76歳の女性で,平成17年8月に胃上部の3型進行胃癌,幽門部のIIa早期胃癌,および食道裂孔ヘルニアに対し,D2リンパ節郭清を伴う胃全摘+脾摘術+食道裂孔縫縮術を施行した.病理組織学的診断は胃上部が中分化型管状腺癌,pT2(ss),ly1, v0で,幽門部が高分化型管状腺癌,pT1(m),ly0, v0, pN0, pPM(−),pDM(−)であった.術後4か月後に嚥下困難が出現,精査で胃癌吻合部再発と診断され,左開胸開腹下に吻合部再発切除術を施行した.組織型は,中分化型管状腺癌,pT2(ss),ly0, v0, pN0, pPM(−),pDM(−)であった.再発部位は吻合部,挙上空腸断端の異なる2か所のステープル部を中心に認められ,初回手術標本で切除断端陰性でかつ,高度脈管侵襲を伴っていないことから,異なる2か所に縫合線再発を来したと考えられた.