2010 年 43 巻 3 号 p. 253-258
症例は62歳の男性で,黄疸を主訴として来院,総胆管末端に境界明瞭な卵円形の陰影欠損を認め生検にて低分化癌の診断を得たので,膵頭十二指腸切除術を施行した.術後の病理組織学的診断では,比較的大きさのそろった細胞が充実性に増殖しており,免疫組織学的検索にてCD56が陽性であったことから小細胞癌(内分泌細胞癌)と診断した.総合的進行度はpT3pN0,M(−),fStage IIIであった.術後補助化学療法としてtegafur/uracilを1年間内服し,術後5年経過し無再発生存中である.胆管原発の小細胞癌(内分泌細胞癌)および腺内分泌細胞癌は,本邦論文報告例が自験例を含め32例とまれであり,生存期間中央値は9.5か月と予後不良の高度悪性腫瘍である.文献的考察を加えて報告する.