日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
閉塞性黄疸で発症した粘液産生胆嚢癌の1切除例
木下 博之山出 尚久中井 博章松村 修一木村 有成嶋 廣一森 一郎
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2011 年 44 巻 1 号 p. 51-56

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抄録

 症例は63歳の女性で,閉塞性黄疸で当院に入院となった.黄疸は保存的治療にて軽快するも,腹部CTで肝側の胆嚢内に淡く造影効果を受ける45×50 mmの乳頭型腫瘍とNo.12c,No.13aに著明に腫大したリンパ節を認め,胆嚢癌の診断で手術を施行した.膵頭部領域のリンパ節は膵実質との線維性癒着のみで剥離が容易であった.胆嚢床切徐を伴う胆嚢摘出術,肝外胆管切徐とD2リンパ節郭清,肝管空腸吻合術を施行した.胆嚢内には多量の粘液を認め,病理組織学的には,pap,mp,medullary type,INFα,ly0,v0,pn0,pHinf0,pBinf0,pPV0,pA0,pBM0,pHM0,pEM0,n2(+),(2/13,No12c,13a),fStageIIIであった.消長した閉塞性黄疸は産生された粘液によるものと考えた.粘液産生胆嚢癌はまれであり,文献的考察を加えて報告する.

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