日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
遺伝子検査が有用であった大腸平滑筋肉腫の1例
大石 一行尾崎 和秀西岡 豊志摩 泰生堀見 忠司岩田 純
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2011 年 44 巻 10 号 p. 1311-1318

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抄録

 症例は53歳の男性で,2009年3月貧血の精査目的で下部消化管内視鏡検査を施行し,上行結腸に腫瘤を指摘された.内視鏡下生検の結果,gastrointestinal stromal tumor(以下,GISTと略記)が疑われた.腹部造影CTにて肝尾状葉に孤立性の腫瘤を認めており,大腸GISTおよび肝転移の術前診断で,4月に回盲部切除術,Spiegel葉切除術を施行した.摘出標本の病理組織学的検査,免疫組織化学染色および遺伝子解析にて,大腸平滑筋肉腫とその肝転移と診断した.近年GISTの疾患概念は大きく変化し,かつて消化管平滑筋肉腫と報告されてきた腫瘍の大部分はGISTに分類されるようになり,真の消化管平滑筋肉腫は大変まれとなった.本症例は,GISTとの鑑別診断,さらには治療方針決定のため,遺伝子解析が有用であった.

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