日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
Composix Kugel patchを用いた腹壁瘢痕ヘルニア修復術後の遅発性メッシュ感染の1例
坂井 寛岡本 有三吉岡 伸吉郎大城 望史平田 雄三小野 栄治
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2011 年 44 巻 11 号 p. 1493-1498

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抄録

 腹壁瘢痕ヘルニア修復術後の遅発性メッシュ感染の報告は少ない.今回,Composix Kugel patch(以下,CKPと略記)の癒着が原因と考えられた遅発性メッシュ感染を経験したのでその原因と予防法について考察を加え報告する.症例は75歳の女性で,他院で腹壁瘢痕ヘルニアに対しCKPで修復術を受け術後3年経過して遅発性メッシュ感染を発症した.保存的治療に抵抗性であったためメッシュ除去手術を施行した.腹腔内に留置されたCKPはPolytetrafluoroethyleneの辺縁が全周性に腹腔側に折れ曲がり外側のポリプロピレンが腹腔内に露出し全周性に小腸が癒着していた.腸管とメッシュに囲まれた間隙に膿瘍を認めた.メッシュを除去して欠損した腹壁を直接縫合閉鎖し術後は合併症なく退院となった.本例はCKPの固定法に何らかの問題があったと考えられCKPを使用する際には固定法に注意すべきだと思われた.

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