日本消化器外科学会雑誌
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臨床経験
食道癌術後の胃管気管瘻の検討
杉村 啓二郎宮田 博志山崎 誠藤原 義之森 正樹土岐 祐一郎
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2011 年 44 巻 11 号 p. 1506-1511

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抄録

 胃管気管瘻は食道癌術後に発生するまれな合併症である.我々は2000年から2008年の間に5例の胃管気管瘻を経験した.5例の平均年齢は60.4歳,男性4例,女性1例であった.全症例,食道癌に対して食道亜全摘,後縦隔胃管再建を行っていた.発生原因は,胃管壊死3例,縫合不全1例,胃管潰瘍1例であった.発症日は術後16日~630日であった.気管側の瘻孔部位は,縫合不全によるものが気管高位,胃管壊死によるものが気管低位,胃管潰瘍によるものが右気管支であり,発生原因による部位の違いを認めた.治療は4例で手術を施行し,1例で保存的治療を行った.原則的に胃管切除に加え,筋弁を用いた気管瘻の閉鎖が必要であったが,瘻孔が小さいなどの限られた症例に対し保存的治療も可能であった.胃管気管瘻は重篤な合併症であり,発生した場合には早期に診断し,その発生原因に応じて適切な対処を迅速に行う必要がある.

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