2011 年 44 巻 5 号 p. 571-576
症例は80歳の女性で,78歳時より全身性強皮症で加療中であった.腹部膨満感と嘔吐で発症し,腹部CTでwhirl signを認め小腸軸捻転症の診断で緊急手術を施行した.上腸間膜動静脈を軸として小腸が反時計回転に540度捻転していた.腸管壊死は認めず,捻転解除のみを行った.しかし,術後39日目に腹痛が出現し,腹部CTで再度whirl signを認め,小腸軸捻転症再発の診断で緊急手術を施行した.前回と同部位で小腸が時計回転に180度捻転していた.捻転解除後,Childs-Phillips法に準じた腸間膜固定術を行った.小腸軸捻転症に対する固定術の有用性は明らかでないとされるが,再発例では固定術を考慮する必要があり,本法は有用な術式と思われた.また強皮症と小腸軸捻転症の合併例の報告はまれであるが,関連性が示唆される症例と思われた.