日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
リンパ節転移を伴った上行結腸腺扁平上皮癌の1例
松井 芳夫影山 隆久
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2011 年 44 巻 5 号 p. 596-602

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抄録

 大腸癌はその多くが腺癌であり,腺扁平上皮癌の発生頻度は低い.今回,我々はリンパ節転移を伴った上行結腸腺扁平上皮癌を経験したので報告する.症例は54歳の男性で,健診の便潜血反応陽性と,下血,貧血症状が出現したため当院を受診した.下部消化管内視鏡検査で上行結腸に亜全周性の2型腫瘍を認め,生検の病理診断は中分化腺癌であった.上行結腸癌の診断で結腸右半切除術,D3郭清を行った.腫瘍は6×4cm大で,著明な角化傾向を示しながら増殖する高分化型扁平上皮癌と,中分化腺癌とが存在し,腸管傍リンパ節(腺癌),中間リンパ節(扁平上皮癌)への転移を認めた.病理組織学的診断は,上行結腸腺扁平上皮癌pSS,pN2,sH0,sP0,sM0,fStage IIIbであった.補助化学療法は5-FU,ロイコボリンを選択した.術後40か月経過した現在,再発の兆候は見られず,外来で経過観察中である.

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