日本消化器外科学会雑誌
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高齢者胃癌の外科治療における問題点
中根 恭司岡本 真司笠松 聡朴 常秀広実 伸郎今林 伸康日置 紘士郎山本 政勝
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1988 年 21 巻 5 号 p. 1236-1242

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抄録

70歳以上を高齢者とし, 70~74歳, 75~79歳, 80歳以上の3群に分け60~69歳胃癌と対比して術後合併症よりみた外科治療上の問題点について検討した.
術後合併症としては縫合不全, 肺合併症が多くみられたが各年齢間に差はなかった.術前機能検査成績と術後合併症との関係では各年齢群とも相関はみられなかった.術後合併症の発生に関与する因子として胃の切除範囲, 手術時間, 出血量が挙げられた.治癒切除例の遠隔成績は良好であった.以上のことから術後合併症の発生予防には手術時間3時間, 出血量500mlを一応の基準とすべきと思われるが, 耐術性ありと判断し治癒切除が可能であれば, 高齢者とはいえ積極的に根治性のある胃切除を行うべきであると考えられた.

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