日本消化器外科学会雑誌
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逆流防止弁形成食道胃吻合術の遠隔成績
今岡 洋一松代 隆山本 協二徳村 弘実針生 常郎
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1991 年 24 巻 1 号 p. 9-13

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抄録

近位側胃切除後の逆流性食道炎を防止するため, 逆流防止弁形成食道胃吻合術を考案し, 施行後長期経過例における遠隔成績を中心に検討した.対象とした34例を3年以上を経過したA群 (16例), 経過3年未満のB群 (18例) の2群に分けて検討した.長期経過後強い胸やけを訴えていたのは2例のみで, ともに3年未満経過のB群の症例であった.3年以上経過した症例では愁訴は軽度であった.体重の回復, 食事回数などでは経過年数の長いA群で良好であった.内視鏡所見から食道炎と思われた症例は2例であったが, これらではいずれも防止弁が吻合口から離れて位置していた.胃透視上防止弁の大きさを測定すると, 3~4年でも術直後の80~85%程度であり, 長期間を経過しても弁の萎縮は起こらず, 有効に機能しているものと思われた.本術式は, 逆流性食道炎という近位側胃切除術のもっとも困難な合併症を防止する簡便かつ有用な術式と考えられた.

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