日本消化器外科学会雑誌
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特発性食道破裂4例の臨床的検討
水谷 郷一幕内 博康町村 貴郎島田 英雄菅野 公司森屋 秀樹堀江 修宋 吉男杉原 隆花上 仁佐々木 哲二田島 知郎三富 利夫
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1993 年 26 巻 1 号 p. 82-86

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抄録

われわれは4例の特発性食道破裂を経験しその臨床的検討を加えたので報告する.年齢は40~63歳ですべて男性であり, 4例ともに飲酒後の嘔吐を契機にして発症した.初診時に診断できたものは4例中1例のみであり, 他の3例は正診できなかった.治療は1例が保存的に他の3例は手術を施行した.手術を施行した1例が敗血症で死亡したが他の3例は軽快退院となった.診断に際しては本疾患の認識が最も重要であり, 胸部X線写真, 胸部computed tomography (以下: 胸部CTと略す), ガストログラフィンを用いた食道造影を早期に行うことが大切である.また治療は, 1) 破裂孔が比較的小さい.2) 破裂が縦隔内にとどまっている.3) 縦隔内の汚染が軽度である.4) 胃内容が持続的に逆流しない4つを満たすものは保存的治療とし, それ以外の症例は手術により穿孔部の閉鎖, 胸腔および縦隔内の洗浄, 確実なドレナージを行うことが原則と考えられた.

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