日本消化器外科学会雑誌
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膵のsolid and cystic tumor
2自験例を含む126手術例の臨床病理学的検討
桂巻 正木村 雅美三神 俊彦山城 一弘向谷 充宏木村 弘通伝野 隆一平田 公一
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1993 年 26 巻 12 号 p. 2864-2868

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抄録

膵のsolid and cystic tumor (SCT) の2例を経験したので報告した. また, 今日までに本邦で報告された肉眼的, 組織学的記載の明らかな126例につき, 主に外科治療の問題点を検討した. 症例1は23歳の女性で腹部腫瘤を主訴とし, 膵尾部に11×7cmの被膜を有する嚢胞性の腫瘍を認め, 膵体尾部切除を施行した. 症例2は44歳の女性で膵体部に5×4cmの被膜内石灰化を伴う嚢胞性腫瘍を認め, 膵体尾部切除を施行した. 両者とも組織学的にSCTと診断された.
上記2例を含めた126例の手術症例の検討では術中リンパ節転移は1例にのみ認め, 術後転移・再発は3例, 再発形式としては肝転移であり, リンパ節転移を認めなかった. 死亡例は2例で, 全例が肝転移を伴う60歳以上の症例であった. 以上より術後経過観察においては肝転移の有無に重点をおくべきと考えられた. また, 手術におけるリンパ節郭清の意義については, その必要性は少ないと思われた.

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