日本消化器外科学会雑誌
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成人T細胞性白血病腫瘤により腸重積を併発した1例
目黒 英二鈴木 克菊地 充亀井 真理及川 和彦富田 幸男葛西 敏史斎藤 和好
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1994 年 27 巻 1 号 p. 135-139

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抄録

成人T細胞性白血病 (adult T-cell leukemia: 以下, ATLと略記) は通常全身リンパ節腫脹などの症状を示し, リンパ節以外への影響はまれである.我々はATLによる腫瘤が空腸に生じ腸重積を併発し, 外科的治療を要した症例を経験した.症例は家族歴・既往歴に危険因子のない48歳の男性, 急な心窩部痛を主訴に来院.腹部X線単純撮影にて鏡面形成を認め腸閉塞が疑われ, 腹部computedtomography (以下, CTと略記) では拡張した小腸とその内腔への隆起性病変を認めた.末梢血検査にて核に切れ込みを有する異型リンパ球の出現を認め, ATLの診断がついた.入院後イレウス管を挿入し腸管内減圧を試みたが, 一時期症状改善するも症状再発し, 22日目に手術を施行した.開腹所見では腸重積を2か所認め, 部分切除端々吻合および徒手整復にて修復した.末梢血および摘出標本組織におけるT細胞抗原と遺伝子プローブ検索により同型のATLの診断が得られ, 腸重積を引き起こした腫瘤が明かにATLによるものと確診した.

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