日本消化器外科学会雑誌
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食道粘膜癌の診断と治療方針
特に内視鏡的粘膜切除術の適応について
田村 茂行塩崎 均井上 雅智岡 博史土岐 祐一郎門脇 隆敏松井 成生岩沢 卓嶋谷 薫辻仲 利政城戸 良弘森 武貞
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1994 年 27 巻 5 号 p. 1007-1014

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抄録
食道粘膜癌17例25病巣, および微小なsm浸潤を示すsm癌 (sml癌) 6例, 明らかなsm層浸潤のあるsm癌 (sm2, 3癌) で長径2cm以下の8例の肉眼型, 病理学的因子を検討し治療法について考察した.粘膜癌ではリンパ節転移はなかったが, 粘膜筋板まで浸潤したmm癌の7病巣では長径2cm以上の2病巣でリンパ管侵襲を, またsm1癌では半数にリンパ節転移を認めた.肉眼型では粘膜癌はすべて0-II型で, このうち0-IIa病変を伴った5例は1pm中層以上の浸潤を示したが, 隆起病巣の大きさは1.3cm以下, 高さは4例で0.5mm以下であった.一方, sm1癌では5例に隆起を認め, 長径は平均2.7cmであった.長径2cm以下のsm2, 3癌では5例が0-I型, 2例が0-III型で, これらはmm癌と鑑別可能であったが0-II型の病変も1例認められた.以上より隆起を伴わない0-II型病変, 隆起を伴っていても2cm以下で高さが0.5mm程度のものは内視鏡的粘膜切除術が適応となり, その他の病変ではリンパ節郭清を伴う食道切除術が必要と思われた.
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