日本消化器外科学会雑誌
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大腸低分化腺癌, 印環細胞癌の臨床病理学的検討
平井 一郎池田 栄一飯澤 肇佐藤 敏彦岡部 健二石田 卓也太田 陽一
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1995 年 28 巻 4 号 p. 805-812

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抄録

最近11年間の大腸癌手術症例1,260例のうち, 低分化腺癌 (por) 93例, 印環細胞癌 (sig) 7例を臨床病理学的に検討した.また間質結合織の多寡で髄様型 (med), 中間型 (int), 硬性型 (sci) に3分類した.por, sigはs (a2) 以深の進行例が多く, 早期癌203例中1例のみであり, 癌発生直後より急速に進展すると考えられた.5生率は高分化: 67.9%, 中分化: 42.3%, por, sig: 37.4%で, por, sigは有意に予後不良であった.間質別5生率はmedで79.6%と極めて予後良好だったが, sciには3年生存例がなく, med, int, sci間に有意差が認められた.組織発生の検討では, intは分化型腺癌の浸潤先進部の分化度が低下し低分化部分が優勢となったもので, med, sciは発生初期から低分化腺癌の形態をとる症例が存在すると考えられた.大腸低分化腺癌, 印環細胞癌の間質組合織の多寡による3分類は予後, 癌組織発生の点で重要である.

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