日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
過食後の急性胃拡張により胃壊死をきたした1例
臼田 昌広小泉 雅典國府田 博之中原 千尋植木 浜一柴崎 信悟
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 31 巻 12 号 p. 2346-2349

詳細
抄録

過食後の急性胃拡張により胃壊死をきたした1例を経験した. 症例は66歳の男性, 器質性精神病で他院精神科に入院中突然の激しい腹痛を訴え始めたため当院紹介となった. 来院時, 腹部は著明に膨隆し板状硬, 上腹部を中心に圧痛を認めた. 腹部単純X線写真で胃壁内ガス像を認めた. CTでは肝左葉を中心とする肝内門脈のガス像と大量の残渣で著明に拡張した胃および胃壁内ガス像を認めた. 発症前の過食の有無は不明であったが以上の所見より急性胃拡張による胃壊死と診断し緊急開腹手術を施行した. 胃内に大量の食物残渣を認め, 幽門部の一部を除く胃のほぼ全域で粘膜の壊死が認められた. 胃全摘術を施行し術後経過は良好であった. 過食後の急性胃拡張による胃壊死はまれな疾患であるが, 本症例のような精神疾患を基礎とした発作的過食後の激しい腹痛では常に念頭におかなければならない. この際CTや単純X線写真検査の所見は診断に有用である.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top