日本消化器外科学会雑誌
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胃噴門側切除における食道残胃吻合法と空腸間置法の比較検討
清家 和裕木下 平杉藤 正典新井 竜夫小野 正人谷山 新次白井 芳則河野 至明小西 大竜 崇正
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1998 年 31 巻 4 号 p. 900-907

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抄録

噴門側胃切除に対して行われた食道残胃吻合群10例 (以下, EG群) と空腸間置群14例 (以下, JI群) について手術侵襲およびアンケート調査により術後のQOLに関して比較検討した.手術侵襲に関しては, 出血量, 術後在院日数においてEG群が少ない傾向があり, 特に手術時間では有意差を認めた.吻合部狭窄に関しては, つかえ感を有したのはEG群3例に対しJI群11例で有意に多く, 8例に内視鏡的拡張術が施行された.逆流性食道炎の内視鏡的所見を認めたのはEG群の4例のみで, JI群では認めなかったが, 胸焼けがEG群に3例, JI群に7例見られた.術後栄養状態, 体重変動にも有意差を認めなかった.以上よりEG群と比してJI群が良好な成績を示したのは逆流性食道炎の内視鏡的所見のみであり, 我々が行っている単管式の空腸間置法の臨床成績およびQOLにおける有用性を示唆する結果は得られず, 術式の改良が必要と考えられた.

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