日本消化器外科学会雑誌
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胆管内発育型の転移性肝腫瘍の1例
河野 修三小林 功織田 豊羽田 丈紀大森 秀一郎笹屋 一人羽野 寛山崎 洋次
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2000 年 33 巻 2 号 p. 200-204

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抄録

症例は73歳の男性. 平成7年12月5日に直腸癌に対して前方切除を施行し, 平成9年8月26日には孤立性肝転移に対して肝S7を部分切除した. 術中超音波検査では, 切除域に門脈浸潤などを疑う所見はみられなかった. しかし病理組織検査では, 腫瘍は長径17mmの腺癌の多発結節で, その結節は系統的に胆管の腫瘍浸潤として分布しており, 切除断端は陽性であった. 平成10年7月8日に肝右葉切除, 横隔膜合併切除術を施行した. 病理組織検査では, 前回の切除部位は壊死を伴い空洞状になっていて, この中に癌細胞の遺残はみられなかった. 癌細胞は空洞直下の門脈域胆管内にみられ, 中枢側に向かって発育していたが, 切除断端は陰性であった.
肉眼的にも認知される転移性肝癌の胆管内発育はまれである. 門脈域胆管浸潤による断端陽性症例では系統的肝切除が有効である.

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