日本消化器外科学会雑誌
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多発性肝転移に対し肝動注療法が奏功した胃扁平上皮癌の1症例
丸田 智章中村 茂樹島田 寛治金子 博畠山 勝義
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2001 年 34 巻 8 号 p. 1299-1302

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抄録

多発性肝転移に対し肝動注療法が奏功した胃扁平上皮癌の1例を経験したので報告する. 症例は65歳の女性. 心窩部不快感, 食欲不振で受診し, 胃癌および多発性肝転移と診断された. 1998年7月8日に胃全摘術および膵尾部, 脾合併切除と肝動注リザーバー留置が行われた. 組織診断で扁平上皮癌と診断された. pT2, sH1, sP0, pN2, cM0, Stage IVであった. 大彎リンパ節, 腹腔動脈周囲リンパ節に扁平上皮癌の転移を認めたが, 脾門部リンパ節には腺癌の転移を認め, 組織発生として腺癌の扁平上皮化が考えられた. 胃切除後肝転移に対して肝動注療法を施行し, CRと判定した. 新たな肝転移の出現や他部位への転移もなく術後2年9か月で健在である.

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