日本消化器外科学会雑誌
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総胆管原発の腺内分泌細胞癌の1例
新地 洋之高尾 尊身前村 公成瀧川 譲治大井 恭代愛甲 孝
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2005 年 38 巻 2 号 p. 179-184

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抄録

症例は73歳の男性で, 上腹部痛出現し近医を受診した. CTにて総胆管の拡張と腫瘤像を認め, 当科へ紹介となる. ERCP, MRCPにて上・中部胆管に境界明瞭な乳頭状の腫瘍を認め, 乳頭型胆管癌と診断し胆管切除術・リンパ節郭清を行った. 病理組織学的には, 粘膜表層部では高分化腺癌を示し, 深部では小型の腫瘍細胞が充実性の胞巣を形成しchromogranin A染色陽性で, 腺内分泌細胞癌と診断した. 胆管原発の腺内分泌細胞癌の報告は自験例を含め17例と極めてまれである. 腺内分泌細胞癌は悪性度が高く, 癌の進行が急速で早期に転移をきたし, 予後は極めて不良とされている. 本症例も術後4か月で多発性肝転移のため死亡した. 外科療法のみでは治療成績は不良であり, 化学療法を含めた有用な集学的治療の確立が重要である.

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