日本消化器外科学会雑誌
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回腸原発髄外性形質細胞腫の1例
前田 好章佐藤 裕二馬場 基山本 貢正村 裕紀本間 重紀近藤 正男伊藤 智雄太田 聡藤堂 省
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2005 年 38 巻 3 号 p. 342-347

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抄録

症例は34歳の男性で, 2か月前より繰り返す腹痛にて当院受診した. 大腸内視鏡検査および注腸検査にて上行結腸内に6cmの腫瘍が発見されたが, 生検組織は壊死が強く病理診断は得られなかった. 腹部CTにて, 回腸末端の腫瘍が上行結腸内に重積していることが判明した. 右半結腸切除術, D3リンパ郭清を施行し, 免疫組織染色にて回腸原発の髄外性形質細胞腫と診断された. 術後7か月経過しているが, 再発を認めず健在である. 小腸原発の髄外性形質細胞腫はきわめてまれで, 本邦では本症例を含め9例の報告のみである. 本疾患は, 放射線感受性, 化学療法感受性とも高く, 10年生存率は61-67%である. 現時点での消化管原発髄外性形質細胞腫の治療方針は, 可能な限り外科的完全切除を施行し, 不完全切除に終わった場合には放射線治療を追加するのが良いと考えられた. また手術不能例, 再発例には, 放射線療法に加え, 化学療法を試みるべきと思われた.

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