日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
先天性無フィブリノゲン血症患者に対する回盲部切除術における周術期管理の1経験例
田儀 知之菊池 正二郎岡山 徳成落合 登志哉園山 輝久山岸 久一
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 38 巻 9 号 p. 1475-1479

詳細
抄録
今回, 我々は先天性無フィブリノゲン (以下, Fbgと略記) 血症患者に対し, Fbg製剤補充下に回盲部切除術を施行し, 良好な経過を得たので報告する. 症例は36歳の男性で, 主訴は右下腹部痛. 以前より先天性無Fbg 血症と診断されていた. 急性虫垂炎による限局性腹膜炎と診断し手術を行った. 入院時の血漿Fbg値は50mg/dl (基準値200~400mg/dl) であった. 手術直前にFbg製剤10gを静注し, 執刀直前の血漿Fbg 値は198mg/dlであった. 開腹所見より憩室炎と診断し, 回盲部切除術を施行した. 術中出血傾向は認めなかった. 術後もFbg製剤を血漿Fbg値を目安に静注投与し, 血漿Fbg値は術後8日目まで100~199mg/dlで推移した. 術後は特に合併症なく経過した. 本症例においてはFbg製剤補充療法が有用と考えられた. また, 血漿Fbg値は100mg/dl以上に維持することが望ましいと考えられた.
著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top