2006 年 39 巻 10 号 p. 1627-1631
ネフローゼ症候群を合併した消化器悪性腫瘍は比較的まれである. 外科的治療によりネフローゼ症候群が治療前後でどのように推移するかを検討した. 当院で過去6年間に経験した5症例を対象とした(大腸癌4例, 胃小腸悪性リンパ腫1例). 術前に腎生検が4例に施行され, すべて膜性腎症であった. 術前, 術後(1M, 6M, 1Y)における1日尿中蛋白排泄量, 血清albumin値, 血清creatinine値について検討した. 1日尿中蛋白排泄量は術前と比較して術後1Yでは減少し, 血清Alb値は術前に比べて上昇した. 血清Cr値は手術の前後でほとんど変化はなかった. 今回, 文献的考察を加えて報告する.