2006 年 39 巻 4 号 p. 470-475
まれな胆道拡張症であるcholedochoceleは一般に膵管胆道合流異常を伴わないとされ癌合併の報告は少ない. 症例は62歳女性で, 心窩部痛を主訴に当院紹介となった. 腹部CTで下部胆管の. 胞状拡張を認め, 十二指腸鏡で乳頭口側に10mm大の弓状隆起を認めた. ERCP, PTCで下部胆管が.胞状に拡張し膵管は嚢胞外に開口して短い共通管を形成するcholedochoceleと診断し, 嚢胞内に不整な隆起性病変を認めたため癌の合併を疑い幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した. 組織学的には.胞部の乳頭部胆管より発生した中分化型管状腺癌と診断され, さらに総胆管粘膜には中等度異形成を認めた. 現在choledochoceleの治療においては.胞内の胆汁うっ滞の解除を目的に内視鏡的乳頭切開などの非手術的治療がまず考慮される場合が多いが, 胆道癌合併の可能性を念頭においた精査と経過観察が必要と考えられた.