日本消化器外科学会雑誌
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小腸軸捻転症を合併した成人特発性腸重積症の1例
伊勢 憲人白山 公幸
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2006 年 39 巻 6 号 p. 708-712

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抄録

症例は79歳の女性で, 便秘と食欲不振を主訴に来院した. 既往歴は特記すべきことなし. 腹部単純X線検査で腸閉塞と診断され, 同日イレウス管を挿入し入院した. 血液生化学検査所見では軽度の炎症反応と脱水を認めた. イレウス管挿入後に小腸ガスは減少したが, 右下腹部の圧痛改善せず, 入院3日目に腹部超音波検査, 腹部CTを施行し腸重積症と診断された. 同日緊急開腹術を施行した. 腹腔内に淡血性腹水を認め, 腸間膜が反時計回りに270度ねじれており, 小腸軸捻転症を合併していた. 小腸全体に血流障害を認めたが, 捻転を解除すると血流も改善した. 回盲部では約13cm回腸が重積していた. 重積した回腸は壊死性であったため回盲部切除を施行した. 器質性病変は認めなかった. 術後経過は順調で, 術後15日目に退院した. 本症例では, 回盲部の腸重積症にイレウス管の刺激が加わり, 腸管の生理的な回転範囲を逸脱し軸捻転症を発症したと考えられた.

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