日本消化器外科学会雑誌
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肝鎌状間膜裂孔ヘルニアの1例
加藤 彩金住 直人鈴木 祐一木村 次郎
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2008 年 41 巻 3 号 p. 324-328

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抄録

症例は81歳の男性で, 腹部手術歴なし. 腹痛, 嘔吐を主訴に近医を受診し, イレウスの診断で当院に紹介となった. 腹部X線検査では上腹部に腸管の液面形成像を認めた. 腹部CTでは, 小腸の拡張像を認めるものの, 絞扼の所見は見られなかった. イレウス管を挿入し, 保存的に経過観察をしていたが, 小腸造影検査にて小腸の狭窄を2か所で認め, 再検にても変化を認めないため, 内ヘルニアによるイレウスを疑い手術を施行した. 開腹すると, 肝鎌状間膜の異常裂孔に小腸が嵌入していた. 肝円索を切離し, 裂孔を開放した. 嵌頓小腸の壊死は見られず, 腸切除は行わなかった. 術後経過は良好で, 術後10日目に軽快退院となった. 肝鎌状間膜裂孔ヘルニアは極めてまれであり, 調べえた範囲内で自験例が本邦8例目であり文献的考察を加えて報告する.

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