抄録
1898年から1991年までに幕内に入幕した力士664名を対象に,力士の年齢標準化死亡比(SMR)について同時代の日本人男性と比較した。さらに,1898年以降の出生者を対象として死亡率に対する種々の要因の寄与の推定を行った。
その結果は以下の通りである。
1.力士のSMRはいずれの年次においても有意に高く,年齢階級別にみると,35∼74歳のSMRが有意に高かった。
2.Coxの比例ハザードモデルによる解析から力士の死亡率に寄与する要因として,入幕暦年,BMIが抽出された。
3.生存率曲線において,入幕暦年の高値群,BMIの低値群はそれぞれ低値群,高値群よりも生存率が高かった。
以上の結果から相撲力士の高い死亡率は35∼74歳の高い死亡率によるものと示唆され,力士において,BMIの高値群は死亡のリスクが高いことが明らかとなった。