抄録
タクシー・スポット市場における市場取引では, 金銭的外部性の存在により客やタクシーの到着率の増加が他方の到着率の増加をもたらすというポジティブフィードバックが生じる. 一方でサービスを実際に利用するためには客が市場まで移動する必要があり, この移動費用の存在がポジティブフィードバックを抑制するメカニズムとして機能する. 本研究では, 都心部における複数のスポット市場間の競争関係を, 市場厚の外部経済性による集中化のメカニズムと移動費用の存在に伴う分散化のメカニズムを考慮した市場均衡モデルとして定式化する. さらに空間均衡が複数存在することを示すとともに, 各均衡解の社会的効率性について分析を行う.