頭頸部癌
Online ISSN : 1881-8382
Print ISSN : 1349-5747
ISSN-L : 1349-5747
基礎
口腔扁平上皮癌におけるフッ化ピリミジン系抗癌剤活性化酵素の発現と薬剤奏効性との関係
渡辺 正人里見 貴史松田 憲一續 雅子松尾 朗金子 忠良岩本 宗春千葉 博茂
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 34 巻 4 号 p. 498-502

詳細
抄録
口腔扁平上皮癌を対象にフッ化ピリミジン系抗癌剤の代謝活性化酵素であるorotate phosphoribosyltransferase(OPRT),thymidylate synthase(TS)およびThymidine phosphorylase(TP)の発現と薬剤奏効性との関連を検討した。術前化学療法(NAC)を施行した31例の投与前生検組織に発現するこれらの酵素を画像解析を用いて定量化し,他の臨床病理学的因子を含めカテゴリー化後,二項ロジスティック回帰分析を行った。結果,奏効性に影響を与えた独立因子はOPRT,TS,およびp53蛋白であった。特に,OPRTが最も強い影響力を示した。奏効の条件としてOPRTの高発現,TSおよびp53蛋白の低発現が必要とされた。よって,フッ化ピリミジン系抗癌剤の効果発現にOPRTを介したリン酸化経路が主体と考えられた。しかも腫瘍組織中に発現するOPRT,TSの評価は薬剤選択の重要な判断材料になり得ると示唆された。
著者関連情報
© 2008 日本頭頸部癌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top